Adrenaline Addiction

東京湾のLTアジから小笠原の遠征ジギングまで。

無人島の周りでウン100グラムの鉄塊を振り回したんだ。Part1

読者諸兄は「宇治群島」という島をご存じだろうか。

 

端的に言えば無人島である。しかも宇治って言ってるくせに鹿児島の甑島よりもさらに西に位置している。一般的には(ここでいう一般は「釣り人一般」を指す)磯釣りが有名な場所ではあるが、カンパチや根魚などのジギングのターゲットも豊富で、10㎏オーバーのカンパチや10㎏オーバーのハタ、クエなんかも狙える好漁場である。

 

さて、なぜかこの漁場の存在に気づいてしまったナントカ大学ナントカ部の猛者達は、毎年宇治群島泊(いちおう避難港はあり、そこでビバークする)のプランを組んでおり、その数はそろそろ2桁に到達しようとしているらしいが、荒れやすい海域ということもあり、いまだに宿泊した経験は無く宇治群島名物の「心霊現象」にも出会えないままになっている。

 

そして今回の遠征も例に漏れず、日曜日の強風のために宇治群島泊はキャンセル。同時にコロナウイルスの影響による減便を受け、なぜか金曜朝9:30に鹿児島に着く羽目になった我々は、このフラストレーションをぶつけるべく、串木野市の某船の午後便に乗り、鯛ラバ、ライトジギングをしてお茶を濁すことになった。

 

 

鯛ラバ、と言えば自分の最も苦手とする釣りである。もともと、西日本の漁師が鯛の漁の際に使っていた漁具を釣り具メーカーがモディファイしてルアー釣りに落とし込んだのがこの釣りで、手軽さと思わぬ大物が釣れることから一昔前から大ブームになっている。しかし、周りのオタクたちと同じように堪え性がなく、多動傾向のある私はどうしても鯛ラバの基本動作「等速巻き」が苦手だ。

 

今住んでいるところが鯛ラバの有名ポイントの近くという事もあり、何度かチャレンジもしたが、結果はカスリもしなかった。

 

一定速度でリールを巻く、それだけを船の上で1日8時間もやると考えると多動でなくても精神に異常をきたしそうな釣りだと本当に思う。

 

しかし、九州と言えば鯛ラバ、鯛ラバと言えば九州である。聞くところによると、当地でステータス足りうるサイズは80㎝。70㎝台(このサイズでさえ九州以外だとなかなか出ない)は釣果写真としてHPに掲載しない船さえあるという。

 

そんなところで鯛ラバをするとなったら、(まぁちょっとくらい期待してもいいかな)と思ってしまうのが人情であろう。

 

まぁ端的に言えば、スケベ心を携えて出船を迎えたのだった。

 

 

出船後、最初のポイントで自分にビッグヒット。この瞬間、自分は本気で「釣りが上手い。」そう思った。

 

真鯛特有のゴンゴンと首を振る引き。かなりの重量感。俄かに船中が色めき立つ。

 

船長も出てくる。「これデカいね!!!真鯛だと思うよ!!」

 

苦節数年、鯛ラバ初ヒットで大ダイGET。こりゃtwitterでバズっちゃうな~

 

 

 

水中微かに仄白い魚体が揺らめく。勝った。そう思った。

 

 

なんか細長い。ヒレがデカい。茶色い。

 

 

 

夢、潰えたり―――。

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ばーか

サメだった。しかもけっこうガッツリ歯が生えてる系の。

ここから何かが狂い始めた。

 

周りが誰も釣れてない中、なぜか一人で「サメ」「エソ」「サバフグ」の外道三冠を最速で達成―――。

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は?こんなデカいガンゾウビラメ釣った事ねぇよ。

周りが釣れ始めても鬼神のごときペースでサバフグを釣り続ける自分の姿に、ついたあだ名は「外道王」(←鬼畜王ランスみたいでちょっとカッコイイと思った。)

 

真鯛っぽいアタリを掛けるところまでは断トツで多いのに、バラしまくる。

 

使ってる道具、フルソリッドのバラしにくいやつなはずなのに……。

 

1人で鹿児島近海のラビリンスに突入していった結果、トップが4枚釣る中、私は最後の流しでようやく釣った40㎝クラス1枚。

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なんかヘタクソが魚釣ったらしいですよ。

しかもその後もっとデカい真鯛を掛けて、またバラす。

 

流石にここまでバラしまくってると、いつしか、「今日のバラシは明日の本チャンに向けた乱数調整」という乗船序盤の意気は消え、青色吐息……。

 

 

美しい鹿児島の夕焼けの中に、一人の瀕死の鯛ラバド下手馬鹿を積載して、船は港に戻って行った……。

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おわり(おしり)