Adrenaline Addiction

東京湾のLTアジから小笠原の遠征ジギングまで。

強制的デジタルデトックス

10月8日未明。Twitterのアカウントが永久凍結された。

 

数年前に投稿した「やばいクレーマーのSUSURUTV」の改変ツイート内に「殺すぞ~~~~~」と書いたままにしておいたのがよくなかったらしい。

こんなしょうもないことで、私は「暴力的発言の賛美者」ということになり、かれこれ9年間ほぼ毎日利用していたサービスから追い出されることになった。

 

率直に言えば、仲の良い人々とはすでにLINEやInstagram、Discordなどの別チャンネルで交流を持っているし、コネクションを維持するだけならそこまで不便はない。

 

目下の問題は、日々頭に浮かんでくるどうしようもない考えや思い付きをさらりと開陳できないストレスと、9年間の間に形成されてしまった自分のSNSネタ探し癖を抑えることだけだ。きっとそれもそのうち消えていくのだろうが。

 

意図せずデジタルデトックスを始めることになったが、なんだかんだおもしろおかしくやれている。

 

そんな最近の生活の断片をご紹介しよう。

 

まず、異様な頻度で犀川梓川)に通っている。

 

犀川とは信濃川の一支流のことで、「梓川」と呼んだ方が皆さんもピンとくるかもしれない。当地は積極的な放流事業もさることながら自然繁殖したレインボートラウト(ニジマス)やブラウントラウトが生息しており、川と呼ぶにはあまりにも荒々しい流れの中に、最大80㎝に迫る素晴らしいコンディションの魚が潜んでいる。

ここで大物を獲ることを目標に、フィールドまで片道大体300km弱、往復だと600kmに迫る長距離を10月上旬だけで3回辿り、勝負を挑んでいる。

基本的に苦しい釣りは結構好きなので(釣れた時のカタルシスがデカいから)ジギングにハマっていたが、自分が最も好む遠征ジギング釣行はそうそう何度も行けるものではないので、相対的に「夜1時に起きて長野まで車飛ばせばチャレンジできる犀川」は難易度的にも、ターゲット的にも非常に魅力的でかなりハマっている。

 

日本有数のハイプレッシャーフィールドということもあり、ルーズに釣りをしていては魚の姿を見れないことはザラ、噂では10回通って1匹、といった恐ろしい話もあるようだが、幸いにも3回通って3匹と、エクストリームフィッシャーマンの矜持をなんとか保っている。狙うは60オーバー。なんとか今年中にけりを付けたいものだ。

 

 

次、ハマっている食べ物について。

 

最近、豆腐で白米を食うことにやけに執着している。

いわゆる「冷奴飯」というやつで、はた目から見るとドン引かれるタイプのめし。

これが異様に美味くて困っている。

 

作り方は(作り方、というにはあまりにもおこがましい気がするが)単純そのもので、白米に絹ごし豆腐(小さく小分けにされた充填豆腐が便利)をあけ、その上に鰹節と小葱を散らして、醤油を垂らしたらもう完成だ。

パンチが欲しいときにはごま油を一垂らししてみたり、塩昆布を乗せてみたり、刻みのりを乗せてみたりと拡張性が高いのも楽しい。

 

豆腐って定食屋で同じ膳に載っていてもあまり白米のアテとして考えた事がなかった人間だったので、「なんかおかずとしてイケるかも……」と気づいたときはかなり興奮した。

だって「幼馴染をいきなり異性と認識しちゃう系」のエロ漫画の展開に存在する昂ぶりとあまりにも似ているものだから……。

 

そんなわけで、平日はこれとみそ汁、漬物ばかり食べている。

 

どうせ事務仕事だからそこまで夕飯をガッツリ喰う事も無くていいのだ。食いすぎると血糖値が急激に上がって眠くなるし。

 

とはいいながらも、今日丁度安くなっていた牛肉の肩ロース切り落としを買ってしまった。ハレの日用に冷凍しておこうと思う。

 

 

そんなこんなでTwitterがなくても楽しくやってます。

 

あのアカウントが戻ってこない限りは、あまり戻る気力もないので、どうしても連絡を取る必要があれば、このコメント欄で言ってもらえればInstagram(本名でやってる)とLINE(本名でやってる)をお伝えします。ではまた。

 

 

 

 

「ただならぬ美女」に思いを馳せる。

吉岡里帆が表紙」という理由で一部の人々からハチャメチャに叩かれたりバカにされたりしている雑誌、『東京カレンダー』を購った。

 

率直な感想は以下のツイートがすべてだ。

端的に言えば、結構面白かったのだ。「上流階級になり切れないミドル層が一生懸命スノッブぶってアッパークラスしてます~、でもオチンチンは勃ってます。」みたいな感じで。

(これは貶しているようだがかなり褒めている。スノッブぶってアッパークラスの世界にお邪魔してみるのは実際超楽しいし、それをしないと日々の生活に張り合いがないので、背伸びは生活を豊かにする大事な要素だ。)

 

唯一の例外として私が嫌いな、首都圏と地方の分断を煽るデマゴーグの短期集中連載だけは読まずにいるが。

 

さて、本誌中で非常に面白かった表現がある。

「連日ディナーの時間になると、ただならぬ美女が店に吸い込まれていく」というキャプション。

 

「ただならぬ美女」って何だろうか。なにやら素敵な表現だ。

 

美女は美女でも「ただならぬ」美女なのだ。

飛び抜けている、意味での「ただならぬ」のか、

「ただならぬ」関係にある美女なのか、

それとも存在そのものとしてファム・ファタル的で「ただならぬ」女なのか。

「ただならぬ」の可能性は無限大だ。

しかも、どういう意味でも「ただならぬ」という形容句は美女を怪しく、魅惑的に修飾する。完璧だ。『東カレ』的表現はこれだ!という趣さえある。

 

類義語にある「尋常ではない」や「半端ではない」ではどうか。そこに『東カレ』の香りはするだろうか。

 

「尋常ではない美女」「半端ではない美女」。少し薄っぺらすぎ、表現に奥行きがないように感じはしまいか。特に外見にのみフォーカスが当たっているような感じがして、存在や関係としてのunnormalさはどこか遠い。端的に言えばどことなくガキっぽさを感じさせてしっくりこない。学食や空き教室でデカい声でサークルの女子の品評会を開催する大学生のようだ。

 

やっぱり「ただならぬ美女」は最適解のように思える。

 

ここまでダラダラと回りくどいことを書いてきたが、結局のところ私は「ただならぬ美女」というフレーズに『東京カレンダー』の矜持のようなものを目撃している思いなのだ。

 

「バリバリ稼いでここに載ってるメシ食いに来いよ!!!」

「奥行きある女性とヨロシクやれ!」

 

冒頭で私はTweetを載せたと思う。これは活性炭で強力脱臭してオー・デ・コロンで超絶着香した「東京いい店・やれる店」だと。

 

『東カレ』は日本が最もギラギラしていた時代のスピリットが形を変えたもので、現代の人間に「もっとギラギラしろ!!!」とハッパを掛けている……。そんな無形のメッセージを彼女無し、地方勤務、低所得の私はヒシヒシと感じた次第である。

(その価値観がある種「有害」になりうるものであることは一旦置いておくが)

 

 

なお、ここまでお読みいただいた方はご賢察頂いていると思うので白状するが、この「ただならぬ美女ショック」以降、私は「ただならぬ」という言葉に完全にやられてしまっている。

 

仕事をしていても、運転をしていても、飯を食っていても、「ただならぬ女」、ひいては「ただならぬ」という言葉そのものに思いを馳せている。

おそらく私は今後1ヶ月くらい「ただならぬ」という言葉の虜になるのだろう。

 

是非、私がSNSや面着の場でこの言葉を連呼していたとしたら、是非皆さんは感じ取ってほしい。ただならぬ美女と知り合うことも、自分がただならぬ男になることも叶わない人間の悲哀を。

 

 

あ、でも、今月の東京カレンダーの表紙の吉岡里帆は「ただならぬ」美しさだと思う。

私が唯一言える、本当の意味でただならないものはそれくらい。

 

 

指名手配ポスターが怖かった。

幼いころに恐れていたもの。読者諸氏は思い出せるだろうか。

 

暗がり、オバケ、隣の家のデカい犬、自分に危害を与えたりするもの、得体のしれないものへの怖さ、恐ろしさ。

 

とかく子供のころは「怖いもの」がいっぱいで、街でうっかり目にして(オバケはいまだに見たことないが)「ああ、見てしまった」と思うや否や、頭の中は網膜に焼き付いた怖いものの断片が渦巻き、増幅され、トイレに行けない夜を過ごすことが頻りではなかったろうか。

 

そんな「怖いもの」たちの中で長きにわたり最上位に位置し、必死に見ないようにしていたもの。それが指名手配ポスターだった。オウム真理教の。

 

子供ながらに、オウム真理教について得ていた情報はいくつかあった。

まず1つは「すごく悪いことをした奴ら」だということだ。

「紫色の服を着た長髪のオジサンがボスで、その手下みたいな奴らが東京に毒をばら撒いて人を死なせた。」

 

親から聞いたオウム真理教についての断片的な情報はかつての私を文字通り「震撼」させた。悪者と言えば、『百獣戦隊ガオレンジャー』の敵のオルグくらいしか知らなかった私にとって、オウム真理教とその首魁麻原彰晃は見た目的にも行動的にもあまりに「悪者」然としていた。

(白い服を着た手下を大量に従えた紫色の服を着ている太っちょがボス、確かに今考えると、オウム真理教信者の風体はいかにも創作物に登場する敵役だ。)

それから父が松本サリン事件が起こった際に丁度松本あたりに出張に行っており、その時のことをごくわずかに聞いたことがあった。

 

これらのごく断片的な情報は「テレビで目にする世界の出来事が垣根を越えてくるかもしれない」といった幼き自分の素朴な恐怖を煽りまくり、オウム真理教=超悪い奴という認識が、この時点で確固たるモノとなっていた。

(その認識は全くその通りなのだが)

 

そして、オウム真理教についてのもう1つの情報が「まだ捕まっていない奴がいる」という事だ。

 

「悪いことをしたのに捕まってない悪者が存在する。」

 

それまでテレビの中では悪者がボコボコにされ、幼稚園ではヤンチャ坊主が先生にシバかれている勧善懲悪の世界のみで生きてきた紺屋少年にはあまりにも衝撃的な事実だった。

 

また、まだ捕まってないということは、「その辺にいるかもしれない」ということだ。

 

毒撒いて人いっぱい死なせた超悪い奴らがその辺にいる可能性、あまりにもクソガキにはヘビーな「恐怖」だ。

 

この2つの情報から「オウム真理教」は一連のオウム事件を知らない幼稚園児の恐怖の対象となっていった。

 

交番の前は掲示板をなるべく見ないように走り去り、貼ってありそうなところには行かず、駅の改札横のポスター掲示スペースには背を向けて日々を過ごす徹底ぶりだった。

たまにレストラン(食堂)や旅館のフロントなんかにも貼ってあって、うっかり目にすると悲惨である。頭の中では高橋克也と菊池直子に毒を吸わされる想像が駆け巡り、取るもの手に付かず、話は全て上の空。果ては夢にまで見るほどなのだから。

 

特に怖かったのは東京で地下鉄に乗ったときにポスターを「目撃」してしまう事だった。どこの駅だったかはもはや覚えていないが、おそらく地下鉄サリン事件の現場の一つの路線、駅だったのだろう、手配犯3人のそれぞれの顔がデカデカと印刷されたポスターがホームに掲示されている駅があった。(たしか霞が関とか赤坂見附とかその辺だった気がする。)

路線も駅の事も何も知らない幼稚園児がこの突然の遭遇を避けることは不可能である。

自分が乗っているこの電車が「その場所」を通過しないように、あまつさえその駅で下車をするなんてことがないように、祈ることしかできなかったことをよく覚えている。

 

しかし、他の指名手配犯ではなく、なぜオウム真理教の指名手配犯のポスターだけがトラウマ的な恐怖を幼き紺屋少年に植え付けたのか。

それは「逃げてる奴らの顔が揃いも揃って超怖い」ことだ。

 

「おい、小池!」の人はその辺にいそうなオジサンだし、悪人というかむしろいい人の雰囲気さえある桐島聡など、指名手配犯のポスターに載っている人々は必ずしも「怖い顔(≒悪人面)」をしているわけではない。

 

ただオウム事件の指名手配犯、平田、高橋、菊池の有名なポスターの顔写真はあまりに人相が悪い。

平田はそこまででもないが(たまに髭でモジャモジャの手配写真があって、それはかなり怖かった。)、高橋のまっすぐに前を見つめた目に立派な太眉、真っ赤な唇。当時の写真の解像度の問題か、白飛びしたような肌。彼の写真は不気味そのもので、親が見てた「世にも奇妙な~」のタモリなんて目じゃないくらいに怖かった。

菊池は今見ると何が怖かったのか全く分からないが、昔はなぜか見るのを超怖がってた。高橋と同じくらい怖かった覚えがある。

 

現在のイメージ図なんかがついてるとより怖い。モノクロで、老けてて、なんだか実像よりも怖そうに、悪そうに描かれていて、これだけ見てもトイレへ行く心理的抵抗が爆発的に増加したものだ。

 

(ついでに、麻原彰晃の写真も子供心に相当な恐怖を覚えた。言っちゃ悪いが、人相の悪いオッサンがロン毛にして髭を生やすと得体の知れなさが凄すぎて全員怖いのだ。)

 

さて、このような恐怖の日々は小学校高学年で終止符が打たれることになる。

Youtubeにアップされていた尊師マーチのポップなメロディに導かれ、おっかなびっくりwikipediaのオウム関連ページをすべて読破したことがきっかけでオウム真理教に対する恐怖心が大きく低減。むしろ積極的に面白がるようになってしまった。

 

家の中で『尊師マーチ』を歌い、学校でYoutubeのおもしろ動画を探す中で同じく「到達」してしまった友達と『超越神力』を歌い、帰り道でも『魔を祓う尊師の歌』を熱唱し……。

そんな感じで面白がってたところ、中学に上がって少し経つと平田の出頭をきっかけに菊池も高橋も芋づる式に逮捕され、一連のオウム事件の被疑者はすべて逮捕済みとなり、部活に忙殺されて白球を弄びながら「ヨー」だの「サー」などと連呼しているうちに、かつて自分の中の圧倒的な悪と恐怖のシンボルだったあの指名手配ポスターもすべて撤去されていった。

 

かくして、トラウマは克服され、その根源も文字通り消滅していった。

 

今でも稀に、さびれた田舎の掲示板や公民館でポスターを目にすることがある。

そうすると思い出すのだ。自分の原初の恐怖体験とその顛末を。

 

 

近所で釣れる魚を釣りに、鹿児島まで行った。『Phantom鯛ラバ』(下書き処理)

昨年10月、ひょんなことから発掘された真鯛の楽園、鹿児島。

 

鹿児島の真鯛釣りと言えば錦江湾が有名なのだが、本当の楽園が東シナ海にあったことは、前回書き途中で終わってしまった記事を見て頂ければお分かりいただけるだろう。

(なお、前回の続きを書くつもりはない。2日目の無人島周りでの釣りは全くと言っていいほどの貧果であり、もはやどういう釣りをしたか覚えていないためである。)

 

そして去り際、船長の放った言葉が今回の遠征釣行を決定づけた。

 

「2月~3月は80オーバーガンガン出るよ!!!またおいで!!!」

 

 

 

 

というわけでやってまいりました。鹿児島。

 

1月にも福岡・長崎でブリジギングをしているため、2022年になって早くも2度九州の地を踏んだことになる。

 

いよいよ自分の住むべきところが東海などという地ではなく、九州であることがハッキリしてきた感がある。

 

港に着くと、ちょうど午前船が帰ってきており、魚の分配が開始されていた。

 

見ると、まぁまぁ釣れている様子。この様子だとボウズはなさそうだな、とちょっと安心。(これは私見だが、鹿児島で言う『まぁまぁ』な釣果は東海基準でいう所の『爆発』『X-DAY』『バリバリ』である。)

 

流石に最盛期ということもあり、前回の2倍くらいの人数を乗せていざ出船。

「鏡のように凪いだ海」に向かってエンジンは煙を吐き出し、油の燃える匂いとこれから待ち受けているであろう爆釣劇に胸を躍らせながら準備を進めた。

 

ん。

 

「鏡のように凪いだ海」???

一抹の不安も添えて、船は沖に向かった。

 

今回は乗っ込み(産卵期)の入りくらいのタイミングではあったが、水深80m前後と深めの水深を攻めるらしく、ヘッドも100~150g、潮が飛べば200くらいまで、というのが船長からの前情報。念のために80gも持ってきておいたが、まぁお守り程度の認識でいた。

 

しかし第一投、100gのヘッドを投入するとヘッドは全く垂直に着底した。

 

これは何を意味するか。

 

潮が流れていないのである。

 

魚にとって潮の流れはいわば『バイブス』である。

潮が流れると、基本的に魚はバイブスが上がってChillい感じ、もしくはアガる感じになって給餌行動を行う。なお、箱(地域)によってリスナー(魚)がアガるジャンル(潮の方向)が違うので単に流れていればいいというわけではないし、強すぎるバイブス(潮)もフロア(活性)はアガることが多いものの、演者側(釣り人)が曲(ルアー)を操作できなくなって釣れない。

 

(この例え方をしている人は自分以外に見た事が無いが、かなりいい線を突いた説明だと自賛している)

 

つまりフロアがいい感じのバイブスになっていないと、どんなキラーチューンを掛けても観客は盛り上がらないのと同じく、潮がいい感じに流れていないと、どんなに魅力的な動きをするルアーやエサを投入しても、魚は口を使ってくれないことになる。

 

さて、そうするとヘッドの重さを軽くして微弱な潮にアジャストさせ、すこしでも斜め方向にルアーを引いてくることが重要になってくる。

 

微弱なバイブスを拾って選曲を変えて、うまい感じに見せかけるんだね。

 

と言ってもこの潮の『無』感で言えば、多分60gくらいがベスト。

しかし、60gは全部自宅に置いてきた。

今回持参した中で最も軽い80gを緊急登板させたが、やはり強すぎる。垂直に沈む。

 

八方塞がり。

 

 

ここから修行の時間が始まるのである。

 

 

前回も書いたとは思うが、基本的に鯛ラバは退屈な釣りだ。

 

底までルアーを落とす

10~20mノーアクションで巻き上げる

底までルアーを落とす

 

このルーチンをアタリが出るまでひたすら繰り返す。

 

掛けるまでのプロセス自体は退屈だが、絶対的なアタリの多さと本命の引きで釣趣をカバーする釣りなので、そもそものアタリがないと本当につまらない。

 

いや、嘘をついた。アタリはある。

 

全部エソだけど。

 

 

掛けた瞬間に「プル……プル……」と微弱な抵抗を見せるこの魚、巷では高級かまぼこの材料らしいが、我々は鹿児島まで加工用の魚を釣りに来たのではない。

 

そんな生き地獄を味わっていると、突如水中のヘッドが斜めに流れ始めた。

 

待望の潮変わりだ。

 

次の瞬間、同行者が40㎝ほどの真鯛を釣り上げた。

 

俄かに船中が色めき立つ。

 

そこから、後に同行者内で「Dream鯛ラバをもはや超越したPhantom鯛ラバ」と呼ばれる爆釣劇が幕を開けた。

 

 

ヘッドを落とすともう食ってる。

 

完全に真鯛の食い方じゃないのに巻き上げると真鯛がついてる。

 

60㎝程度の真鯛だともはやサイズも測定してくれない。

 

船長のいう事はすべて本当だった。

 

珍しいダブルヒットどころか、もはや見た事のないトリプルヒット。

 

「どこで買ったの?」と聞きたくなるくらいチャチな仕掛けに食ってくる60㎝。

後輩が「これ青物ですよ。回収中に食ったもん」と上げた仕掛けに76㎝の真鯛がついている。

 

船長は途中から我々の釣った真鯛の活〆作業に専念するために操船室から姿を消したまま日没まで戻ってこなくなった。

 

私も60㎝後半を筆頭に3匹。グループ全員で20枚、平均サイズ50㎝という確変を起こし、夕方までの半日船という名目で出船した船が港に戻ったのは午後7時の事であった。





2日目はね。カス。40㎝くらいのやつ1枚釣ったけど。

 

真鯛は本当に幻になりやがった―――。

 

(去年書き途中だった奴を供養します)

 

 

 

 

無人島の周りでウン100グラムの鉄塊を振り回したんだ。Part1

読者諸兄は「宇治群島」という島をご存じだろうか。

 

端的に言えば無人島である。しかも宇治って言ってるくせに鹿児島の甑島よりもさらに西に位置している。一般的には(ここでいう一般は「釣り人一般」を指す)磯釣りが有名な場所ではあるが、カンパチや根魚などのジギングのターゲットも豊富で、10㎏オーバーのカンパチや10㎏オーバーのハタ、クエなんかも狙える好漁場である。

 

さて、なぜかこの漁場の存在に気づいてしまったナントカ大学ナントカ部の猛者達は、毎年宇治群島泊(いちおう避難港はあり、そこでビバークする)のプランを組んでおり、その数はそろそろ2桁に到達しようとしているらしいが、荒れやすい海域ということもあり、いまだに宿泊した経験は無く宇治群島名物の「心霊現象」にも出会えないままになっている。

 

そして今回の遠征も例に漏れず、日曜日の強風のために宇治群島泊はキャンセル。同時にコロナウイルスの影響による減便を受け、なぜか金曜朝9:30に鹿児島に着く羽目になった我々は、このフラストレーションをぶつけるべく、串木野市の某船の午後便に乗り、鯛ラバ、ライトジギングをしてお茶を濁すことになった。

 

 

鯛ラバ、と言えば自分の最も苦手とする釣りである。もともと、西日本の漁師が鯛の漁の際に使っていた漁具を釣り具メーカーがモディファイしてルアー釣りに落とし込んだのがこの釣りで、手軽さと思わぬ大物が釣れることから一昔前から大ブームになっている。しかし、周りのオタクたちと同じように堪え性がなく、多動傾向のある私はどうしても鯛ラバの基本動作「等速巻き」が苦手だ。

 

今住んでいるところが鯛ラバの有名ポイントの近くという事もあり、何度かチャレンジもしたが、結果はカスリもしなかった。

 

一定速度でリールを巻く、それだけを船の上で1日8時間もやると考えると多動でなくても精神に異常をきたしそうな釣りだと本当に思う。

 

しかし、九州と言えば鯛ラバ、鯛ラバと言えば九州である。聞くところによると、当地でステータス足りうるサイズは80㎝。70㎝台(このサイズでさえ九州以外だとなかなか出ない)は釣果写真としてHPに掲載しない船さえあるという。

 

そんなところで鯛ラバをするとなったら、(まぁちょっとくらい期待してもいいかな)と思ってしまうのが人情であろう。

 

まぁ端的に言えば、スケベ心を携えて出船を迎えたのだった。

 

 

出船後、最初のポイントで自分にビッグヒット。この瞬間、自分は本気で「釣りが上手い。」そう思った。

 

真鯛特有のゴンゴンと首を振る引き。かなりの重量感。俄かに船中が色めき立つ。

 

船長も出てくる。「これデカいね!!!真鯛だと思うよ!!」

 

苦節数年、鯛ラバ初ヒットで大ダイGET。こりゃtwitterでバズっちゃうな~

 

 

 

水中微かに仄白い魚体が揺らめく。勝った。そう思った。

 

 

なんか細長い。ヒレがデカい。茶色い。

 

 

 

夢、潰えたり―――。

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ばーか

サメだった。しかもけっこうガッツリ歯が生えてる系の。

ここから何かが狂い始めた。

 

周りが誰も釣れてない中、なぜか一人で「サメ」「エソ」「サバフグ」の外道三冠を最速で達成―――。

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は?こんなデカいガンゾウビラメ釣った事ねぇよ。

周りが釣れ始めても鬼神のごときペースでサバフグを釣り続ける自分の姿に、ついたあだ名は「外道王」(←鬼畜王ランスみたいでちょっとカッコイイと思った。)

 

真鯛っぽいアタリを掛けるところまでは断トツで多いのに、バラしまくる。

 

使ってる道具、フルソリッドのバラしにくいやつなはずなのに……。

 

1人で鹿児島近海のラビリンスに突入していった結果、トップが4枚釣る中、私は最後の流しでようやく釣った40㎝クラス1枚。

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なんかヘタクソが魚釣ったらしいですよ。

しかもその後もっとデカい真鯛を掛けて、またバラす。

 

流石にここまでバラしまくってると、いつしか、「今日のバラシは明日の本チャンに向けた乱数調整」という乗船序盤の意気は消え、青色吐息……。

 

 

美しい鹿児島の夕焼けの中に、一人の瀕死の鯛ラバド下手馬鹿を積載して、船は港に戻って行った……。

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おわり(おしり)



 

 

 

 

 

 

 

バンコクのゴーゴーバーで重力から解放されたってハナシ

釣行記を書いてたらゴーゴーバーの話を書きたくなったんで先にこっち書くね。

 

 

 タイ最終日の晩、バンコクのMRTの端っこのバーンケーに宿を取った我々は「明日、タイを離れる」という事実に発狂し、タイ成分をもっと摂取するためにはどうすればいいか必死に考えた末、近所のショッピングモールで晩飯を2回食っていた。(???)

 

 

 そしてそのままお土産を買う流れになったのだが、どうもいいものが見つからない。自分用にタイ仕様の黒人牙膏を買ったはいいが、これはタイの土産物ではなくむしろ大陸土産である。

 もっとタイらしくて、インパクトのあるもの……。

 

 この思考の行きついた結果が、訪タイ当初、冗談でツイートしてたバイアグラジェネリック品を本当にお土産で配ることだった。

 

 

 

 一般的にタイは微笑みの国と呼ばれるが、その意味の半分を日本の中高年オヤジやファランがタイの夜遊び場で見せるニチャついた微笑みが占めていることは周知の事実であり、当然、勃ち枯れジジイ向けのジェネリックバイアグラ生産も盛んである。しかも、処方に処方箋を必要とする日本と違い、こちらでは薬局によっては処方箋なしでジェネリックバイアグラが買える。偽物かもしれないけど、露店に大麻の喫煙具や宝くじと並んで売っていることもある。

 この思考結果を受け、私は即座に処方箋なしでバイアグラを買える店をリサーチ、スクンビット周辺にある薬局ではタイ国営製薬公社製の「シデグラ」と呼ばれるジェネリックバイアグラが買えることを突き止めた。そして、完全に今回の旅を「やりきった」感の出ていた同行者を誘い、タイの歌舞伎町であり日系企業駐在員の巣窟、スクンビットへ繰り出した。

 

(1990年代前半、タイに飛ばされた私の父が住んでいたのもスクンビットだったらしい。)

 

 あと、電車に乗ってる途中で日本標準時で誕生日を迎えて22歳になった。

 

 

 さて、スクンビットに到着した我々は思ったよりあっさりとシデグラ入手に成功した。思ったより、というか本当にあっさりと買えたので特に何も書くことはない。とはいえ、またとんぼ返りで帰るのも癪だし、せっかくの繁華街なのでブラブラとしていると、タイ名物ゴーゴーバーが立ち並ぶソイ・カウボーイに差し掛かった。

 

 ゴーゴーバーとは、お立ち台の上でダンサーが踊り、それを見て気になるダンサーを呼び寄せてアルコール片手に会話し、「その気」になったら連れ出し料金を払って連れ出してセックスをするという独特のシステムを持つナイトクラブ?である。タイでは手―メーカフェ、マッサージパーラーと並んでポピュラーなスタイルの性風俗店であり、これを目当てにタイへ渡航する人も多いと聞く。

 

 思えば異性と全く接触のないままタイで1週間弱を過ごしていた我々は、ソイカウボーイの入り口に差しかかり、ビキニのチャンネ―が手を振ってるのを見たタイミングでついに三大欲求の構成成分が「釣欲 食欲 睡眠欲」から「性欲 食欲 睡眠欲」というあるべき姿に戻ることになった。そして同行者との「見に行くか」「いいね」という短い呼応を経てゴーゴーバーの立ち並ぶ通りへ足を踏み入れた。

 

 

 通りはまさに「圧巻」であった。客引きのダンサーが狭い通りいっぱいに屯し、力いっぱい男の手を引いて自店へ引き入れようとしている。時折、「大岡裁き」のように、2つの店舗のダンサーが1人の男の腕を片方ずつ持ち引っ張っているのも見えた。現代日本性風俗から、微かに残っている風情と客引き防止条例を抜いて濃縮してもこんな露骨な客引きにはならないんじゃないだろうか……。しかし客引きとはいっても、店舗に入るために入場料が必要なわけではない。なぜかこういう所は良心的で、ゴーゴーバーは連れ出しをしない限り、掛かるお金は基本的に「酒代」くらいで、見学するだけなら案外安く楽しめる。色々な店を見て、ダンサーや客が多い店舗を見つけて遊ぶ店を決めるのが賢いスタイルなようだ。我々もそれに倣って、通りにある色々な店舗を覗いてみることにした。

 

 まず、通りで一番の「爆光」を放っていて最も目に付いた店舗(店名失念。たしかバカラだった)を覗く。

薄暗い店内では爆音で音楽が鳴り響いており、店舗の中央にあるお立ち台ではビキニのダンサーが大量に踊り狂っている。天井を見ると、2階のフロアのお立ち台に立つダンサーのノーパンのケツがマジックミラーを通して見える。これ瞬間、完全にこの国の商業エロスが「恥じらい」の上に構成されるものではないことを完全に理解し、快楽天を読むときにムードと「恥じらい」を重視する自分の行動の選択肢の中から「あわよくば……」という思いは消え去った。(まぁ、MRTの終点まで連れ出すことはどだい無理な話だし、何よりも我々は2人1室なので3P確定になってしまうよね。)そして後に残ったのは、「このトチ狂った環境を楽しむこと」のみであった。

 

 「吹っ切れた」後、様々な店舗を覗いた。ディズニーのアリエルに出てくるアースラみたいなレディボーイのいる店や店を出ようとするとダンサーが通せんぼをしてくる店、営業中なのにお立ち台に数人しかダンサーのいない店など様々な店があった。アドレナリンがドバドバ出てたのか、ゲラゲラ笑いながら覗きまくった。しかし、いい加減どこかに腰を落ち着けたくなり、最初の爆光ゴーゴーバーに戻ってみることにした。最初に自分の価値観と性欲を破壊したのはこの店だったので、ここで飲むのがふさわしいのではないかと思った。フロアはもちろん全裸でチャンネーが踊ってる2階……。

 

 バーカウンターの端に座ってバンコクにしては高いハイネケンを飲んで上裸で踊り狂うダンサーをガン見する。気分は完全に24K MagicのMVでシャンパン片手に水着の女のプリケツを眺めるブルーノ・マーズである。

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 最初のうちはぶっちゃけメチャクチャ面白い。やっていることは「色情狂の金持ち」が考えそうなことなのだから、面白くないわけがない。オッパイもケツも眺め放題。日本人中高年がドはまりするのも納得の低俗さ。500円で経験できる低俗体験としてこんなに優秀なものはないと思う。たぶんこの感じってかつてのノーパン喫茶とかそういう系譜に属するものなんだろうね。周囲の客も日本人が半分、ファランが半分といったところであろうか。周りの親父たちは自席にダンサーを呼んで、「王」の顔になっている。

 20分も眺めているとオッパイ中毒、ケツの過剰摂取に流石に飽きてくる。しかしこういう時はやはり「漫然とするのではなく目的意識、問題意識を持って事に当たるのが大切」という中学時代の部活のパワハラ顧問の教えが生きてくる。ラケットを握っていた日々に置いてきた真剣さで、問題意識を持ってオッパイを見る。ケツを見る。こういう時は比較、対照が役に立つ。するとどうだろう。なんと踊り狂うダンサーのオッパイの揺れ方には2種類が存在していることに気づいた。豊胸してるダンサーの胸は重力に負けず、「シリコンの塊が形を保ったまま動く」のだ。有史以来人類と共に歩んできた重力はイーロンマスクのスペースXよりもずっと卑近に、豊胸手術とシリコンを以って局所的に決別を果たしていたのである。

(この日以来、AVを見て誰が豊胸して誰が豊胸してないかを簡単に識別することができるようになった)

 

 

 釣果的には大満足だったものの、イマイチ何かアクティビティ不足を感じていた今回のタイ旅行だったが、このゴーゴーバー訪問を経てようやく自分の中で「タイ旅行、とりあえずやりつくしたな」という実感がじわじわと押し寄せてきた。帰りのタクシーの中で、なんだか日本に帰ってやってもいいような気持ちになった。(お前も結局日本のエロジジイと同じじゃねーか)

 

 タイ旅行、最後のピースは豊胸だったんだな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

既に書くのを忘れかけてたタイ釣行記3

 

 流石に行ってから1年くらい経った釣行の記事を書くのは気が引けるが、投げっぱなしもよくないのでとりあえず最後まで書いてみようと思う。

 大丈夫、釣りの事なら昔のことでも覚えているから……。

 

 4日目、前夜のアツい戦いを経て我々の釣欲は回復。

この日はチャチュンサオ県のPILOT111へ。

 

ここは場内に魚種別に分かれた複数の池があり、うまくいけば1日でタイの釣り堀のゲームフィッシュの大体が釣れてしまう、なんとも面白い管理釣り場。もちろんタイの釣り堀らしく、食堂も完備されており、釣りに飽きたら飯をかっ喰らってビールを飲んで即沈没可能な仕様になっている。

 

 まずは朝イチ、タイでチャドーと呼ばれる雷魚の仲間、ジャイアンスネークヘッドが放流されている池へ……。

 エビ釣り堀を除けばここまでほぼパーフェクトゲームといっていい釣りっぷりの我々。正直、この釣り堀をナメていた。

 

早く気づくべきだったのだ。この釣り堀、今まで行ったどの釣り堀よりも他の釣り客の数が多いという事に……。

 

 

開始30分、完全ノーバイト。

 

周りも釣れている様子はないので普段の日本の釣り場の感覚なら焦りを覚えるような状況ではないのだが、「タイの釣り堀=パラダイス」だと思い込んでいたのでにわかに焦り始める。

 

 

そこで、訪タイ前「ぜって~につかわね~だろ~な~~~」と思いながらも入れてきた小型のバイブレーションを投入。

 

軽くキャストしてリフトアンドフォールさせてみる。

 

 

すると……

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紫色の淡水魚って日本じゃみたことねぇよ

釣れた。グフフ。

(ぶっちゃけ、雷魚系の釣り方としては邪道も邪道だけど、この日トップで釣ってる人は誰もいなかったので許してください。雷魚フリークの皆様。)

 

 サイズもそこまで大きくないし、チャド―自体大して引く魚ってわけではないけど、初めての魚なのでやっぱりうれしいね~~~~~。

 

 まぁ、初めて釣った魚とはいえ、パット見たところ日本の雷魚、いわゆるタイワンドジョウと体色くらいしか変わらないが、紫ってだけでなんとも「怪魚」感が出ていてカッコいい。この魚は地域によって体色が違っていて、黒から紫、青、珍しい所だとコバルトブルーのような体色の個体も存在する。色違いポケモンみたいな魚だ。

 

  喜びもつかの間、その後は再び沈黙……

 手を変え品を変え、いろいろやってみるものの、全然ダメ……

(小さいソリッドのバイブレーションを低速巻きしてやるとたま~~~に当たったけど)

 

 しかし、この後エサ撒きタイムが始まると状況が一変。エサ撒いてる所に大量のチャドーが集まり、あまつさえボイル(水面での捕食行動)なんかしている。

 こうなると、もう簡単だ。

 

 浮いてるエサののサイズにルアーのサイズを落としてやればいい……

 

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ジャッカルのベビーギロンだったかな??セコイ釣りだぜ。

 

 そんなこんなで、このあと2本くらい追加したところで、友人が隣の池でどデカいバラマンディを釣ってるのが見えたのでチャドー池を後に。

 

 

 さて、友人のバラマンディの物持ち写真を撮り終え、バラマンディ欲がふつふつと湧いてきた私はこの釣り堀で一番難しいターゲット、バラマンディとついに対峙することになった。

 

 この釣り堀のバラマンディ、びっくりするくらい反応が悪いのである。

 

 当然、魚の量も養殖池とは違うのだろうが、他の釣り人のアプローチを散々受けてきたこちらの釣り堀のバラマンディは2日くらい前に養殖池でアホほど釣った魚とは思えないシビアさ。養殖池で爆発したルアーを投げても全然釣れない。

 しかし、池の端っこにいる釣り人だけは、なぜか定期的にバラマンディをキャッチしている。

 

 こういうとき、やることは一つ。

 

 近くを通りがかってルアーを盗み見る。

 

 もうセコイとかセコくないとか、どうでもいい。タイくんだりまできて「マイゲーム」を貫き通すほど、私の心は強くないのだ。(まぁ、大体ロッドワークでどういうルアーを使ってるのかはわかってたけど)

 

 んで、先行者がいなくなったタイミングで

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こう。

 

答えはシャッドのジャーキングを「ある一か所で」やる。

 

 それだけでした。シャッドのジャーキングは別に当たり前のテクニックだし、この池でも投入していたが、どうやらシャッドのジャーキングを「先行者の立ってた場所で」するのがカギだったらしい。ここが回遊コースだか捕食ポイントになってるらしく、このポイント以外だと同じことしても釣れなかったのだから。

このあと5匹くらい釣ったかな。ハイ、バラマンディ攻略完了です。

 

 

 最後はMix池へ。ここはナマズやらパーカーホやらが入ってるとかいうチート池。(パーカーホって草食っぽいけどルアー食うの??鯉の仲間だから食うのか?)

 

 結構魚の密度は濃く、ルアーを巻いてるとゴツゴツと魚体にルアーが当たるのを感じる。だから、この池で手っ取り早く魚の引きを味わうなら、多分シンキングの適当なルアーを底まで沈めて早巻きすればいいと思う。99%スレ掛かりだけども……。

 ちなみに、私はもうセコイ釣りをするのに飽きたので普通にシンキングミノー投げてました……。

 

 現地の人もたまーに掛けてるけど、100%ナマズ。でもなんかブンサムランで釣ったメコンオオナマズやプラ―サワイとはなんか違うような……。

 

 

 近くの人に聞いてみたところ、ここで釣れるのはメコンオオナマズとはちょっと違う、チャオプラヤキャットフィッシュ。タイの他のナマズと比べて、ヒレが長くて顔が一番宇宙人っぽいナマズ(だと個人的には思ってる。)で、こちらも絶滅危惧種らしい。

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Pilot 111のレストランで。脱水になりかけでビールを飲むのってホントはだめらしいね。

 突然の新キャラ登場だが、新たな魚種ということでちょっとやる気が出る。ルアーは沈むなら何でも良いようで、誰に釣れるかは完全にロト6状態らしい。

 

 こういう釣りは試行回数を重ねるしかない。昼飯をはさんでMix池で粘ってるとようやく「ヌルっ」とした当たり。地面が動いてるような最初のトルクフルな引きでナマズ系は確信したものの、ここからが長かった……。

 

 まさに一進一退の攻防である。ナマズを狙った初日のブンサムランはメコンオオナマズとの真っ向勝負を予期してゴッツイタックルで挑んでいたから良かったものの、今回はバラマンディやチャド―向けに用意した、「日本基準で強め」くらいの道具立て。タイのナマズ系の魚とガチンコ勝負するにはちょっと弱い。池の周りを歩き回り、15mくらい寄せていくが、少し寄せては次のランで一気にラインを引き出されてしまう。それでもなんとかだましだまし寄せること10分程度。観念した魚はようやく姿を現してくれた。

 

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チャオプラヤキャットフィッシュだ!!!

改めてよくみてみると、本当にヒレが長いだけのプラ―サワイにしか見えない……。

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ナマズがcatfishと呼ばれるのはこいつらの顔から来てるんだろうか

 タイのナマズ系共通のひょうきんな顔というプラットフォームを有しつつも、異様に長いヒレ

 日本の魚で例えるなら、メコンオオナマズやらプラ―サワイやらチャオプラヤキャットフィッシュって、姿形は似てるけど住む地域が異なる、日本でいう所のヤマメとアマゴくらいの違いなのだろうと思ったが、調べてみると、メコンオオナマズ、カイヤン(プラ―サワイ)、チャオプラヤキャットフィッシュは3種類共にパンガシウス科ではあるものの、前者2種はパンガシアノドン属なのに対して、チャオプラヤキャットフィッシュだけはパンガシウス属に分類されている。じゃあ具体的に属の違いってそもそもどれくらいの距離感なのというと、カツオとマグロくらい違う。

 

 こんなに似ているのに、ヤマメとイワナ、マグロとカツオくらいの差があると思うとと、魚の学術的な分類というのもなかなか面白いものだ。

 

 

 そんなこんなで、適度に難しく、適度に釣れるこのPilot111。

 また是非リベンジしてみたい釣り場だ。

(次こそはアロワナやらコロソマが釣りたいナ……)