Adrenaline Addiction

東京湾のLTアジから小笠原の遠征ジギングまで。

近所で釣れる魚を釣りに、鹿児島まで行った。『Phantom鯛ラバ』(下書き処理)

昨年10月、ひょんなことから発掘された真鯛の楽園、鹿児島。

 

鹿児島の真鯛釣りと言えば錦江湾が有名なのだが、本当の楽園が東シナ海にあったことは、前回書き途中で終わってしまった記事を見て頂ければお分かりいただけるだろう。

(なお、前回の続きを書くつもりはない。2日目の無人島周りでの釣りは全くと言っていいほどの貧果であり、もはやどういう釣りをしたか覚えていないためである。)

 

そして去り際、船長の放った言葉が今回の遠征釣行を決定づけた。

 

「2月~3月は80オーバーガンガン出るよ!!!またおいで!!!」

 

 

 

 

というわけでやってまいりました。鹿児島。

 

1月にも福岡・長崎でブリジギングをしているため、2022年になって早くも2度九州の地を踏んだことになる。

 

いよいよ自分の住むべきところが東海などという地ではなく、九州であることがハッキリしてきた感がある。

 

港に着くと、ちょうど午前船が帰ってきており、魚の分配が開始されていた。

 

見ると、まぁまぁ釣れている様子。この様子だとボウズはなさそうだな、とちょっと安心。(これは私見だが、鹿児島で言う『まぁまぁ』な釣果は東海基準でいう所の『爆発』『X-DAY』『バリバリ』である。)

 

流石に最盛期ということもあり、前回の2倍くらいの人数を乗せていざ出船。

「鏡のように凪いだ海」に向かってエンジンは煙を吐き出し、油の燃える匂いとこれから待ち受けているであろう爆釣劇に胸を躍らせながら準備を進めた。

 

ん。

 

「鏡のように凪いだ海」???

一抹の不安も添えて、船は沖に向かった。

 

今回は乗っ込み(産卵期)の入りくらいのタイミングではあったが、水深80m前後と深めの水深を攻めるらしく、ヘッドも100~150g、潮が飛べば200くらいまで、というのが船長からの前情報。念のために80gも持ってきておいたが、まぁお守り程度の認識でいた。

 

しかし第一投、100gのヘッドを投入するとヘッドは全く垂直に着底した。

 

これは何を意味するか。

 

潮が流れていないのである。

 

魚にとって潮の流れはいわば『バイブス』である。

潮が流れると、基本的に魚はバイブスが上がってChillい感じ、もしくはアガる感じになって給餌行動を行う。なお、箱(地域)によってリスナー(魚)がアガるジャンル(潮の方向)が違うので単に流れていればいいというわけではないし、強すぎるバイブス(潮)もフロア(活性)はアガることが多いものの、演者側(釣り人)が曲(ルアー)を操作できなくなって釣れない。

 

(この例え方をしている人は自分以外に見た事が無いが、かなりいい線を突いた説明だと自賛している)

 

つまりフロアがいい感じのバイブスになっていないと、どんなキラーチューンを掛けても観客は盛り上がらないのと同じく、潮がいい感じに流れていないと、どんなに魅力的な動きをするルアーやエサを投入しても、魚は口を使ってくれないことになる。

 

さて、そうするとヘッドの重さを軽くして微弱な潮にアジャストさせ、すこしでも斜め方向にルアーを引いてくることが重要になってくる。

 

微弱なバイブスを拾って選曲を変えて、うまい感じに見せかけるんだね。

 

と言ってもこの潮の『無』感で言えば、多分60gくらいがベスト。

しかし、60gは全部自宅に置いてきた。

今回持参した中で最も軽い80gを緊急登板させたが、やはり強すぎる。垂直に沈む。

 

八方塞がり。

 

 

ここから修行の時間が始まるのである。

 

 

前回も書いたとは思うが、基本的に鯛ラバは退屈な釣りだ。

 

底までルアーを落とす

10~20mノーアクションで巻き上げる

底までルアーを落とす

 

このルーチンをアタリが出るまでひたすら繰り返す。

 

掛けるまでのプロセス自体は退屈だが、絶対的なアタリの多さと本命の引きで釣趣をカバーする釣りなので、そもそものアタリがないと本当につまらない。

 

いや、嘘をついた。アタリはある。

 

全部エソだけど。

 

 

掛けた瞬間に「プル……プル……」と微弱な抵抗を見せるこの魚、巷では高級かまぼこの材料らしいが、我々は鹿児島まで加工用の魚を釣りに来たのではない。

 

そんな生き地獄を味わっていると、突如水中のヘッドが斜めに流れ始めた。

 

待望の潮変わりだ。

 

次の瞬間、同行者が40㎝ほどの真鯛を釣り上げた。

 

俄かに船中が色めき立つ。

 

そこから、後に同行者内で「Dream鯛ラバをもはや超越したPhantom鯛ラバ」と呼ばれる爆釣劇が幕を開けた。

 

 

ヘッドを落とすともう食ってる。

 

完全に真鯛の食い方じゃないのに巻き上げると真鯛がついてる。

 

60㎝程度の真鯛だともはやサイズも測定してくれない。

 

船長のいう事はすべて本当だった。

 

珍しいダブルヒットどころか、もはや見た事のないトリプルヒット。

 

「どこで買ったの?」と聞きたくなるくらいチャチな仕掛けに食ってくる60㎝。

後輩が「これ青物ですよ。回収中に食ったもん」と上げた仕掛けに76㎝の真鯛がついている。

 

船長は途中から我々の釣った真鯛の活〆作業に専念するために操船室から姿を消したまま日没まで戻ってこなくなった。

 

私も60㎝後半を筆頭に3匹。グループ全員で20枚、平均サイズ50㎝という確変を起こし、夕方までの半日船という名目で出船した船が港に戻ったのは午後7時の事であった。





2日目はね。カス。40㎝くらいのやつ1枚釣ったけど。

 

真鯛は本当に幻になりやがった―――。

 

(去年書き途中だった奴を供養します)