Adrenaline Addiction

東京湾のLTアジから小笠原の遠征ジギングまで。

雑記:釣りヴァージンはどう散ら「させる」べきか。アテンドを考える。

 放課後ていぼう日誌見て釣りに興味が湧いたという後輩の誘いにより、先日久しぶりに地元の釣具屋に行った。

(なお、私は『放課後さいころ倶楽部』と『放課後ていぼう日誌』を4分の3の確率で混同する。)

 

 そこで大学時代、釣りサークルの部長時代に頭を悩ませた、ある問題にまたも直面することになった。

 

 「釣り」を始めるって、どこから始めさせればいいんだ?

 

 幸いにも、今回釣りを始める後輩は6年ほど前、つまり高校時代に釣りキャンプと題した活動で私と共に房総半島を数日間駆けずり回った経験のある人間だったので、ある程度「どういう釣りがやりたいか」というビジョンを持っていて助かったが、翻って、「釣りたいけど特に希望のない」釣りヴァージンを何で、どう散らさせるか、という問題は釣り人ワナビをアテンドする人間が最も苦心する問題だ。

 

 ではアテンドする側がそういった人たちに向けた釣りをセッティングする際に考慮しなければいけない問題とは何だろうか。整理してみよう。

 

本来、初心者に最も経験させるべき釣りというのは、「楽で」「安くて」「そこそこデカい魚(おいしい)」が「そこそこ」釣れる釣りだ。最初からデカい魚釣るのは躊躇がある人が多いし、たくさん釣れ過ぎても困る。世の中には魚を捌ける人ばかりではない。しかし、残念なのはこんな釣りはなかなか存在しない。特に関東という人口密集地域の堤防なんぞには。

そこで、前述した4つの要素を取捨選択して釣りを選ぶ必要がある。

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こんなに釣ってもしょうがねぇんだよ

 まず、我々が考慮しなければいけないのは、彼らが釣りを「始めたい」のか、それとも「やってみたい」だけなのかを見極めることだ。前者ならそれなりに継続性をもって釣りに取り組む意思が存在していることが多いので、ターゲットの選定やエントリー向けの釣り具を買わせる方向に進んでもいいかもしれない。しかし仮に後者の場合、継続性を持った趣味とする意思は希薄なので彼らの多くは釣り堀などでの「体験」で満足してしまう。誤解しないでほしいのは、私は決してそういった人たちを嫌っているわけではなく、ここで見抜いておかないと「やってみたいだけ」の人にレンタルで済むものを買わせることになったりしてしまって双方モヤモヤしたものを抱えてしまうことになったりしてしまうのだ。兎角、ここの見極めは慎重にすべきである。

 それから、後者の場合も思わぬ一匹で人生が「暗転」する事があるのでこのカテゴライズは絶対的なものでもない。

 実際、思わぬ一匹で人生が狂った人々を何人も目にしているので。

 

 次に我々が考慮すべきは、それが「魚が釣れる釣り」か否か。という事である。釣りと一口に行っても、そこには多くの釣り方や対象魚が存在する。一か八か、釣れない大物に一日を賭けるのか、小物をコンスタントに釣って手堅く遊ぶのか、その選択肢は数多く存在する。その中から、季節に合っており、なおかつ釣れる釣りを探さないといけない。初心者のアテンドで最も恐ろしいのは「魚を釣りに来たのに魚が釣れない」ことである。そして後述するが予算の限りもある。

 

 そして我々は予算についても考える必要がある。基本的に釣りは金がかかる部類の趣味だ。費やす額で言えば、ゴルフとそこまで変わりないのではないかと思う。ゴルフは一見しただけでも金持ちの趣味、オッサンの趣味感がするからまだいい。しかし、厄介なことに釣りというのは「軽い気持ちで始められます!!」みたいな、敷居が低い趣味ヅラをしている。だから、相手が「体験」もしくは「スタート」にどれだけの予算を組んでくれるかはかなり重要な問題になってくる。

 実際問題として、「体験」でさえかかる金は結構なものだ。これがコイやマスの釣り堀などなら1日数千円で済むが、コイ釣りやマスのつりぼりは経験したうえで、もうちょっと踏み込んだ釣りをしたい、釣った魚を食べてみたい人々が声を掛けてくれることが多いので必然的に選択肢からその2つは除外される。そこで前述の「魚が釣れる釣り」という要素とすり合わせていると選択肢に上がってくるのが海上釣り堀とライトアジ船である。この2つなら大体ボウズ(何も釣れないまま終わること)が少なく、そこそこ魚の引きを楽しめるので初心者にうってつけだ。しかし、金額面からみると、前者では最低1万円、後者は5000円程度かかってしまう。一度の体験でこの出費を許せるかどうか、ちょっと意見が割れるところだと思う。

 なお、釣りを「始める」場合はもっとお金がかかる。前述した「始めたい」後輩も、堤防でできる「サビキ釣り」というごくポピュラーな釣り方のための道具をクーラー含めて一式そろえて1万円くらいになってしまった。このうち8000円くらいはいわゆる「耐久消費財」で、特に竿やリールは他の釣りにもある程度流用が出来るのでまだいいが、それ以外は大体消耗品である。もちろん最初はレンタルもアリだが、「始める」にあたっては、いずれ何かしらの道具は用意することになるし、1人で買いに行かせて下手に廉価なものを買わせてしまっても安物買いの銭失いになってしまう。これを忘れずにアテンド側は心得ておくべきだろう。

 

他にも考慮すべきことはいろいろある、虫エサ(ゴカイ類)を触れるか。トイレの有無、近所の観光・飲食店など、快適な釣りってめんどくさいね……。

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5000円が許せるなら今すぐに横浜からLTアジに乗っけてあげてください。

 そこで考えられるのが関東近郊の半日のライトアジ船である。これ本当に楽。レンタルもあるし、船宿に「初心者を連れていく」旨をいえば相応の配慮をしてくれる上に釣れるアジはブランド物なのでバカ美味いです。「体験したい」人も「始めたい」人もいままで数十人この船にブチ込みましたが、ボウズ喰らうことは経験上なかったので釣果も安心。周年釣れるので時期も選ばない。

ネックはサイズがイマイチな事くらい。でも、良いときに当たれば上の写真みたいにアベレージ25㎝オーバーみたいな日もあるので、状況次第で挽回可能。

 

 

 あと意外とおすすめなのは「キャストができる」という条件付きで半夜のボートシーバス船。4人集めれば1人1万円以下で6時間仕立て(貸し切り)にすることができる。

日本で一番スズキが釣れる東京湾で「ルアーは釣れる」という意識づけもできるし、魚もマックス70㎝とかまで出るので楽しい。ただ、レンタルがないところが大半なので、自分でレンタルを用意するか道具を買ってもらう必要があるのが欠点。

 でも、東京湾の工業地帯やら港湾部の夜景を間近に見ることができるのは超アガる。みんなも一緒にキリン(ガントリークレーン)見ような。

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ガントリークレーンはゲチケッケェ。

 あと、ここまで堤防釣り、おかっぱりの話をしなかったのは意図的なもの。最近の関東地方の釣り場はどんどん釣り禁止が増えているうえに、残った釣り場に毎週人が押し寄せてトラブル多発。魚もスレてて激渋。駐車場も少なく、精神衛生によくないので…。

いや、良い場所もないことはないんだけど………。船が快適過ぎて……。

 

 

しかし、どこまで我々が熱意を込めて準備しても最後のところは魚次第。あと、なんだかんだ言ったけど結局釣りにハマる人って大体初回か数回目の釣行でビギナーズラックで「デカいの」当てる人だよ。競馬と同じ。

 

 

釣りはギャンブル。忘れんなよ。

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新しい何かを始めるには相応の金がかかる。この、釣りあげるまでに20万円ぶっこんだカンパチを拝みながら毎日100回復唱してください。

 

 

 

 

デカいエビには火を通せ。オニテナガエビ釣り。 タイ釣行記2.5

 オニテナガエビ(学名:Macrobrachium rosenbergi)はインドから東南アジア、そしてオーストラリア北部に棲息する淡水のエビの一種で、サイズが最大30㎝を超える世界で最も大きな淡水エビの一種である。火を通しても身が縮みにくく食用に適しているため、東南アジアはもちろん、中国、台湾でも養殖が行われている。

 

 さて、今回のタイ釣行でささやかながら熱い戦いを繰り広げることになる好敵手がこのエビであった。

 

 2日間連続でハードな釣りを完遂した我々は3日目を休息日とし、昼まで惰眠を貪ったのち、釣りは一旦もういいや、とバンコク市街に夜まで滞在することにした。そこで、バンコクにもあるというエビの釣り堀に行くことにした。(???)(結局、どんなに疲れていても何らかの釣りはしたいのだ。)

 

 バンコクには多くのエビ釣り堀があり、難易度やエビのサイズ、料金が釣り堀によって異なる。本来ならばサクッと行ってサクッと釣るのが「観光」なのだろうが、今回の旅行はあくまでも釣りが目的。難易度高め、サイズ大きめの釣り堀を選んでいくことにした。そこで向かったのがBTSクルトンブリー駅近くのエビ釣り堀兼レストラン「Charoen Nakhon 16 Shrimp Pond」。竿、餌、ビク込みで1時間100バーツ(350円くらい)。市ヶ谷フィッシングセンター(市ヶ谷駅から見えるアレ)の3分の1の値段でエビを釣ることができる。

 

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内部はこんな感じ。結構空いてた。



 当地が難しいと言われる理由はすぐに分かった。エビ釣り堀は基本的にはクリアウォーターで、水底にエビの姿を視認することができるところが専らだと事前情報では聞いていた。一方、ここは池の水が濁っており、エビの姿が見えないのだ。イメージしやすく例えると、見えないドブからザリガニを釣る難しさだ。しかも、ここには池の各地から湧き出ている酸素注入用のエアーレーション以外に障害物がない。つまり、ほぼイコールコンディションで、エビの着き場がわからないまま釣りをする必要がある。

 

 こうしたコンディションで確実に結果を残さないといけないとき、我々がまずすべきことは「常連」の発見だ。長い時間(半日~1日)をかけてパターンを発見するのが釣りの「常道」ではあるが、今回、そうした方法で本命をキャッチするにはあまりにも時間がない。我々は受付のあんちゃんが怪訝そうにこちらに目を向けるのをガン無視して常連っぽい人を探すことに最大限の注意を払った。

 

 いや、払う前に見つけた。

 

 親子で来てるわりにレンタルの道具を使っていない「angler」たちがそこにいた。彼らは池のど真ん中に陣取り、自前のエビ釣り道具を使っているのは彼らしかいなかった。10歳そこらの子供と40歳くらいの父親とみられる男は、スローに時間が流れるこの釣り堀で、言葉も交わさず、絶えず腕を緊張させながらウキに鋭い眼光を浴びせている。その姿は、子供のころに参加したヘラブナ釣り大会の上位入賞者のそれと酷似しており、バンコクのエビ釣り堀に今は無き栄町の亀の子池を幻視した。後ろから回り込んでびくの中身を覗き見ると「1時間2匹」という前情報からすると驚異的な量のエビがキープされている。それを見た我々は受付でそそくさと準備を済ませ、彼らの目前に陣取ることにした。

 

 さて、エビ釣りの仕掛けはかなり単純なものである。1.8mほどの述べ竿に1.5号ほどのナイロン、ウキ、オモリときて最後に針が来る。しかし流石は手長エビの親玉、日本の手長エビ釣りとは比較にならない太さと大きさの針がついている。エサは鳥のレバーを集魚液に漬けたものを使用する。

 

 日本でのエビ釣りの経験からすると、彼らは障害物に付くが、前述したようにここには障害物は存在しない。とするならば、まず狙うべきはエビが障害物以外で最も付きやすいであろう場所、壁際であろう。事実、目前に陣取るエビ師も壁際をちょくちょく攻めている。しかし15分ほど攻めてみるも沈黙。やむを得ず、壁から50㎝程度の距離にあるエアーレーションの泡が出ている近辺にエサを流し込む。しばし待つと、ウキが「ピッ」と動いた。エビは魚のようにエサをひったくる食べ方をせず、餌をハサミで持つか軽く咥え、安全な場所に持って行ってから本格的な摂餌行動をとる。したがって早合わせは禁物。ウキが沈んで、沈みっぱなしのままステイするくらいまで待ってからやおらアワセをくれてやる。しかしバラシ。水中のエビとフッキングの向きが違うと掛からないのがエビ釣りであるとは理解しているものの、数少ないアタリをモノにできないのは悔しい。しかし、そこからアタリはぱったりと、丸30分消滅した。

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虚無

 

 釣り開始から早くも1時間が経とうとしていた。ここまで2人で釣りあげたのはゼロどこをどう攻めても釣れないことに気づきつつあった私は、twitter開いたスマホを片手にビールを吸引するマシーンと化していた。twitterでエロ画像に「いいね」をしまくっていると目の端に映るウキが滲んで見えた。意識するや否や反射的にアワせた。

 

 エビの引きは思ったよりも魚っぽい。しかし、魚よりもバイブっぽいので魚ではないことはなんとなくわかる。エビは危険から逃げようとするとき、いわゆるしっぽを何度も屈伸させて逃げる。その細かい振動がなぜかバイブっぽいのだ。房総の「密漁にならないところ」で釣ったイセエビも、江戸川の手長エビも、バンコクのオニテナガエビもそこは同じ。

ただ、イセエビよりは引かないし、手長エビよりかは引く。そんなもんだ。

 

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この後挟まれた(挟まれにいった)。結構痛かった。

 

 ぶっちゃけ、日本の手長エビのボディをそのまま等倍したらこんな感じになるなといった姿だ。額角(エビの角みたいなとこ)は日本の手長エビを等倍したイメージよりも立派だが、頭胸部(エビの頭)と身のサイズのバランスはまさに手長エビ。しかし、ハサミの大きさが際立つ。しかもよく見ると、第2胸脚(ハサミ)にはタラバガニのような棘が数多くあり、うっかり握ったりしたら刺さるほどの鋭さ。「オニ」の由来もここから来ているのではなかろうか。

 

 

 次にチャンスが訪れたのはそこから30分後の放流タイム直後であった。この釣り堀では1時間に一度、受付の兄ちゃんが奥のイケスからエビを15匹ほど網ですくいあげて池の中に放流する確変イベントが発生する。

 

放流後はエサにスレていない個体が積極的に摂餌するため、得てして魚の活性が上がりやすいものだが、エビにもそれは当てはまるのだろうか……。

 

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うん。釣れた。エビごときの知能に人間様が屈すると思ったか?

 

 

 なお、このころになるとすでに我々のエビ釣り理論は周囲の不断の観察と不定期的に訪れるアタリへの対処(全部バラした)の末に、かなり確立されてきていた。

・餌のタラシを小さくすること

・アワせるときは真上にコンパクトに、しかし鋭くアワせること

・どうせたまにしか当たらないから、待ち時間にはtwitterをいじること

・どこに仕掛けを投入しても当たる確率は変わらないこと

・誘いは無駄

 

つまり、仕掛けを投入した後はおとなしく待つしかないらしいという事だ。

多分この釣りはアワセの上手い下手で決まっちゃう釣りですね。

 

 このあと、1時間延長戦を行って「twitter釣法」で1匹追加したところでタイムアウト。小腹も空いてきていたところだし、釣り堀に併設されているレストランで釣ったエビを調理してもらい、その他にも何品か頼んで早めの夕食をとることにした。

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茹でられると、たしかに淡水のエビっぽい淡い色の出方をする

 デカいエビは火を通せ。種類を問わず、火を通したデカいエビを食べるたびにいつもこれを実感する。(余談だが、イセエビだって火を通した方が美味いと思う)

 

 オニテナガエビも塩茹でされて食卓に上がったが、サーブされたエビを見ると身の縮みが少なく、可食部がデカそうな雰囲気で思わず笑顔になってしまった。殻をむき、いざ食べてみると、デカいエビ特有の強めの「ブリブリ」感が前面に出た身質で本当にうれしくなってしまった。事前情報には釣り堀によっては臭みのあるエビが存在するとのことだったが臭みも無く、例えるならばイセエビの味。デカい頭に味噌もガッツリ入っており、これを日常的に食えるバンコク市民を本気で恨みかけた。

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釣り堀併設のわりにちゃんとしたものが出てくる。レストランだけの利用をする現地人もいた。

 

なお、その後バンコク女子旅の聖地、タラート・ロットファイ・ラチャダー(ラチャダー鉄道市場)にも行った。しかし、完全に観光地化してしまっていた上に現地民の50億倍くらい観光客が来ていて、地元民が主要客層のクロントゥーイ市場的なものを見たかった我々は肩透かしを食らいながら、またも焼いた超デカいオニテナガエビを食って、porn hub のロゴが入っている靴下を買って帰った。

(実は日中ハーフだった同行者は、中国語がやたらと通じるこの市場に「なんでこんなところで中国語話さなきゃいけねーんだよ」と半ギレしながら、中国語で超デカいエビを注文してくれた。)

 

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鉄道市場で食べたオニテナガエビ。25㎝くらいあるデカいやつ。身質もエビ味噌も、イセエビと遜色ないレベル。

ゆっくりと時間が流れる中でまったりと釣り糸を垂れるもよし。

数釣りを狙って本気でやるのもまた一興。

それぞれの楽しみ方で堪能できるエビ釣りはバンコクのアクティビティとしてはかなり優秀なものだと思う。バンコクの観光に飽きたなにか生き物と触れ合いたい夜遊び場が開くまでの時間潰しがしたい、そんなときには是非、エビ釣りをお勧めしたい。

 

 

 それから、中国の皆さんもアメリカザリガニとか言う特定外来生物を有難がって食べてないで、殻が剥きやすくて可食部がデカいオニテナガエビを大量養殖してください。(アレはアレで剥く楽しさはあるし、純粋なエビとは別ベクトルの旨さはあるけど)

 

 

 

雑記:新しい椅子がほしい。

 現状、私は新入社員という身分にもかかわらず研修もせず、毎日会社から送られてくる課題をこなす日々を送っている。

 

 

 しかし、1日当たり平均8時間、余暇の時間を含めると軽く10時間はPCと向き合っているので、さすがに堪えてきた。心身が。

 

 

 メンタルは別にいい。退勤後、深夜に大声を出しながらドライブをしているので。

 

 問題は身体。特に厳しい状況に陥っているのは腰である。当たり前だ。ろくな椅子に座ってないのだから。

 小学校1年生から使っていた学習机の付属品の青い学習椅子を失って以来、家に放置されていた簡素な折り畳み式のウッドの椅子にクッションを敷いて簡易的に使っていたが、さすがに限界である。しかも、我が一族は伝統的に腰痛持ちである。母は10年ほど前に椎間板をクラッシュし、祖母も先日草むしりをしていたら腰痛をぶり返し、ペンギンのような歩き方に拍車がかかっている。

 

 かくいう私も、昨年11月末にジムでデッドリフトをこなしていたところ腰~首を痛め、ロキソニンをODする日々を送った経験がある。加えて、猫背のため、椎間板や頸椎への負担が常人よりも大きく、いつ椎間板をクラッシュしないか、頚椎をクラッシュしないか、という事に関しては尿道に石が詰まるのと同じくらいの恐怖心を抱いている。

 

 今買うべきは椅子なのだ。それも、腰をやさしくホールドし、負担を軽減し、長時間座っていても尻を痛めない、上等な椅子を。

 

 そう思って、退勤後の結構な時間を費やして、椅子について調べている。これが意外と面白い。姿勢に合わせて背もたれがフィットする椅子やヘッドレストが動く椅子、オプションに「痔主」向けのパーツがある椅子、チルト角(チルトという文字列を競艇以外で目にすることになるとは思わなかった)が細かく設定されている椅子…などなど、よくもまぁ考えたもんだ、と椅子にも押し寄せる「高付加価値」化の流れに毎日思いを馳せている。

 そうこうしているうちにいくつか候補も見つかり、絞り込めてはきているものの、何分、今まで椅子に金を掛けてこなかった人間なので今度は「メモリアルな初任給全額を使って買う物が、耐久消費財でしかない椅子でいいのか」という新しい悩みに直面してしまい、私の椎間板は依然として日々クラッシュへの道へ邁進している。

 

 コロナ前は初任給全額を競馬に使ってやろうとさえ思っていたが、いざ手にしてみると人間、みみっちくなってしまいますね。

 

P.S. なにかおすすめの椅子があったら教えてください。twitterでもいいので。

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今のところ一番「キて」るのはこれ。定価で買うと綺麗に初任給が飛ぶらしい。

 

タイ釣行記番外編①―ブンサムランのタックルについて

タイに行く前、難儀したのはタックルの選定である。

 

タイ経験者が周りにいないわけでもないが、あまり細かく聞くのも憚られるのでインターネットでの検索が主な情報収集手段となったが、案外こちらもあっさりとしかタックルについては触れられておらず、どのルアーが釣れる、釣れないという事に終始している。

 

しかし、先駆者が進めるルアーよりも前に我々が知りたいのはもっと基本的な事である。

 

どのくらいの調子の、どのくらいのクラスのロッドがあればいいのか

リールには何をどれくらい巻けばいいのか。

フックはどうするのか

スプリットリング・ソリッドリングはどうするのか…

等々、ルアーの話の前に知りたいことはたくさんある。

 

本来、希少な魚を狙うのであればあまり詳しくタックルやルアーを書かないのがインターネット釣り界隈のマナーであるようだが、これらの釣り堀は別に希少でもなんでもないし、お金さえ払って英単語を連ねれば誰でも行ける場所であることから、数回に分けてブンサムラン、モンコンフィッシングパーク(バラマンディ釣り堀)、pilot111、AmazonBKKの3つの釣り堀への釣行で使ったタックルを小物含めて紹介してみたい。

 

ブンサムランについて

 

まずはタイの代表的な釣り堀、ブンサムランでどのようなタックルを使ったのか、書いてみよう。

さすがと言うべきか、ブンサムランは今回行った中で最も観光慣れしている。そして大型魚を対象にしているだけあってレンタルタックルにも気合が入っており、GTロッドorジギングロッドにPENNの8000番クラスが装着されているタックルが500バーツでレンタルできる。

つまり、日本から辛い思いをして異常なタックルを持ってこなくとも全く問題ない。

事実、我々もアクシデントから後半はレンタルタックルを使用したが、いたって快適であった。

 

しかし、我々は節約とレンタルタックルへの潜在的な不信感のため、日本からタックルを持参しており、前半は持参したタックルを使用した。

ガイドも我々のタックルを目にし、「パーフェクト」と言っていたので、参考程度にはなるだろう。

 

<TACKLE>

ロッド:大学の部室に転がっていたジギングロッド(おそらくMAXウェイト400g前後)

リール:PENN サーガスⅡ 8000

ライン:PE 8号

リーダー:130lb

 

コメント及び所感

今回用意したロッドは1.8m前後のレングスのものであったが、レンタルタックルはもっと短かった(5フィート前後)のでこれより短くても問題ない。しかし、コテージなどから釣りをする場合、取り回しが短いとコテージの基礎部分の柱に潜り込もうとする魚をうまくいなせないため、ジギングロッドよりもなるべくならGTロッドやツナロッドの様なオフショアキャスティングのヘビーな番手の方がいいと思う。

ヒラマサキャスティング用は正直やめた方がいい。

最近トレンドのローレスポンス系のジギングロッドもやめた方がいい。

何せ、釣れる魚が平均30㎏前後あるし、100㎏オーバーも50匹前後いる池だ。

(200㎏オーバーは2匹いるらしい)

バットが強く、棒のような漢竿を用意されたい。

(案外昔のオフショアスティックのGT用キャスロッドとかタックルベリーに落ちてるからそれ使って。)

 

 

リールは手元にある中で一番大きいものを使用したが、ちょうどよかったようだ。

国産リールで用意するならソルティガ6000やステラ10000、14000あたりを用意するのがベターだが、結構ラフに使うし何せ結構なハイペースで釣れるので、損耗が怖い人はPENNの廉価モデルなどを用意していくといいだろう。

(なお、レンタルタックルを使用していた際、魚が走って水上コテージの基礎の柱にラインを巻かれたことがあった。その際、ガイドはリールごとタックルを水に突っ込み、柱の間を通して回収していた。)

 

ラインについては8号を使用したが、レンタルタックルは明らかにそれよりも細かったので、6号くらいでも問題ないだろう。しかし、あくまでもタックルバランスを考慮して準備されたい。

 

リーダーは130ポンドもあれば十分なようだ。しかし、細いからと言って食い渋るような魚でもないし、ラインブレイクした際は自分が逃した魚がケミホタル付きの仕掛けが付いたまま、ずっとうろうろしているのを見る羽目になるので100ポンド以下の細い番手はお勧めしない。

 

リーダーとメインラインの結束に関しては人の好き好きなのでFGノットでもPRノットでもいいし、正直なんでもいい。ただし、かなり遠距離にキャストする都合上、結び目が大きくなる結束は避けたい。

 

なお、仕掛けに関してはほぼ選択肢がなく、ほぼ強制的にウキ付きの吸い込み仕掛けを購入して使わされる。

これに該当するものを日本でそろえようとしても正直難しいが、敢えて作るとすれば、10号以上の発砲中通しウキに針金を曲げたラセンをつけ、ソイ針の24号やカン付き大鯉の20号をイシダイ用のケプラーで結んでくっつけてやる感じだろうか。

なんにせよ、仕掛けも飲み物も軽食も現地で24時間購入できるのでおとなしく買うのが得策だろう。

 

 

ここまで用意すれば、ガイドを雇っている限り後の準備はすべて彼らが行ってくれる。

こうなると我々にできることは、ただ酒を飲んで魚を待つだけだ。

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タイで金を払ってバラマンディの出荷の手伝いをしてきた話。 タイ釣行記2

 前回の投稿から4ヶ月が過ぎ、大学生からピカピカの社会人1年生になってしまった。

 

 身分が変わり、週5でナイントゥファイブする社会人になると、あんなにも閉塞していたように感じた学生生活にも、少なくとも「自由」と「無責任」というアイテムだけは一丁前に揃っていたことに気づかされる。

 

 そんな学生時代の出来事を毎晩思い返していると、直近で面白かったのはやはりタイ釣行だったので、悔悟と悲嘆の日々の中、コロナ在宅勤務の余暇を生かしてまた書き連ねてみたい。

 

 

 

2日目。例のデカ魚(うお)釣り堀ブンサムランをボッタクリタクシーのあんちゃんの車で飛び出した(grabが捕まらんかった)我々は、一路mongkol fishing park(以下モンコン)へと向かった。

 

モンコンはスタンダードな当地の釣り堀の一つで、スタンダードな池では主にバラマンディと呼ばれる魚が釣れる。

 

バラマンディはタイでは主に食用として利用されるほか、釣りのターゲットとしても親しまれている、日本でいえばスズキみたいな魚だ。

 

そんな魚が釣れるモンコンであるが、実はメインポンドはあまり釣れない(らしい)。

我々がそんな釣れないメインポンドに行くはずもなく、本当の目当ては「スペシャルポンド」。

受付で大枚はたくと、メインポンドよりもデカい魚が飼育されている養殖池に連れて行ってくれるのだ。

 

こんな裏ルートのようなシステムが存在するのも驚きだが、この裏ルート、とにかく釣れるらしい。しかも、いざ到着してよくよく話を聞いてみると、ガイド?のタイ人が2名ついて、針外しから食事の注文、ビールのパシリまでやってくれるとのこと。

「地獄の沙汰も金次第」とはよく言ったものだが、タイの釣りも間違いなく金次第である。

・ 

そうこうして到着した池で釣りを始めてみる。大きさは50mプールくらい、水深はどうやら1m程度でかなりマッディ(濁っている)。

 

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タイなので「当然」怪しい犬もいる。多分噛まれたら死ぬ。

 

さて、セコイ釣りの国で純粋培養された日本人として、まずはセコいルアー(X-RAP10)を投げてみる。海外の、しかも養殖池なので派手な動きでテンポよく、と思って早めのジャーキングでルアーを横っ飛びさせてみる。

10分ほどの沈黙ののち、「ガチンッ」という感触。一瞬根掛かりかと思ったが、そのままラインが横にスライドしていったので魚、しかも間違いなく本命(バラマンディ以外いないので当然だ)だと確信。ファイトを開始する。

 

カルカッタコンクエストの301というかなり強めのリールを使って、しかもドラグもキッチリ締めていたが、それでもかなりの勢いでラインが放出されていく。しかもボンボンとジャンプする。

 

しかし、昨晩のようにどうにもならない相手でもない。ゆっくり魚の体力を奪うようにファイトすると、案外すぐに魚は上がってきた。サイズは4㎏~5㎏くらいだろうか。

 

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かっこいい~~~



 

 

バラマンディは日本に生息するアカメの近縁種で姿形も酷似している。

しかし、一か所だけ確実に異なる点が存在する。

それは瞳の色。

 

アカメは光を当てると、その名の通り瞳が赤く反射する。

一方、バラマンディは光を当てると瞳が黄色く反射する。

 

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黄色い瞳だ~~~~(写真は一匹目の魚じゃないけど)





例に漏れずこの魚の瞳も鮮やかな黄色を帯びており、バラマンディの瞳の色にしばし陶然としながら(いつかアカメも釣らないといけないなァ)という静かな決意をしていると、タイ人ガイドがグリップであの麗しき魚をつかみ、隣の池の生け簀の中に極めて粗雑に「どぼん」とぶち込んだ。

 

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きわめて粗雑に魚がぶち込まれる、きわめて粗雑な生け簀。

 

キャッチ&リリースしない訳を聞くと、どうやら我々の釣った魚はすべて出荷されるとのことで、「お前らの水揚げ(釣果)に今日の売り上げがかかってるからいっぱい釣れ」ということらしい。

 

なぜかハッパを掛けられた形となった我々は、その後、ありとあらゆるルアーを使って釣り続けた。

 

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まぁ~釣れる

 

 

釣り続けるうちにわかったことだが、どうやら、

・ブローウィン140s

・マリア ザ・ファースト110

のようなシルエットの大きく、強めのウォブンロールでアクションするルアーが良いようで、この2種類に関しては着水と同時にヒット、という事も多々あった。

 

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釣りすぎてガッチャガチャになってしまった。

逆に、巷でアカメキラーとされているエアオグルや、対バラマンディルアーとして有名なルアーたちは釣れることは釣れるものの、サイズが小さいことから丸呑みされるケースが多く、リーダーの消耗が激しくなってしまい、手返しが悪かったように感じる。

 

 

 

しかし、人間どんなに楽しいことでも「飽き」は来る。あんなに楽しみにしていた魚、渇望していた魚を時速10匹以上のペースで釣り続けるという夢のような体験は、あるときから急激に色彩を失い、疲労と辛さを伴う「出荷の手伝い」という単純作業としか感じられなくなるようになってきた。

 

 

単純作業を課せられた人間が長時間の作業に従事する中でどうなるか、もちろん皆さんもご存じだろう。

 

まず怠惰になる。数時間前までは池の周りを縦横無尽に回って釣っていた我々は、ついにプラスチック製のアウトドアチェアに座りながら釣りをすることを覚えた。どこで釣りをしたって、魚の密度はそう変わらないことに気づいたのだ。

 

次に、どうすれば仕事をしないでいいか考えるようになる。これを釣りに当てはめると、「どうすれば魚を釣らないように済むか、適度なペースで釣るか考えるようになる」という事だ。

これが難しい。魚がピュアすぎてどうやっても釣れてしまうのだ。しかし、幾匹との望まぬ戦いの末、「適度に釣れないけど飽きないくらいには釣れる」方法を編み出した。

 

 

それは、トップウォーター系ルアーのステディなスプラッシングー水面を激しく動かし、水柱のような散水を起こして魚の気を引くテクニックーであった。一般的に、日中の魚は水面近くでの捕食行動をあまり起こさない。これは養殖池という温室育ちのバラマンディにおいても例外ではない。つまり、他のルアーのような「反射で捕食する」行動がかなり抑制され、やる気のある個体だけがアタックするようになるのだ。

 

しかもこの魚、釣っているうちに気づいたが、捕食があまりうまくない。ルアーが通った後の航跡(?)に向かってアタックしたり、ルアーにアタックしたものの勢い余ってルアーを吹き飛ばしてしまったりと、壊滅的な下手さである。(その辺、スズキに似てる気がする)

こうした魚に、トップウォーターのゆっくりした動きを見せるとどうなるか。

そもそものアタックの量も減り、捕食が下手だからフッキングも減るのである。

 

これを見つけ出し、その後は時間いっぱいまでなんとか楽しむことに成功した。

 

しかし、この釣りの最大のクライマックスは出荷にあった。

ガイドに釣りを終了する旨を伝えると、遠くの方から軽トラを一回り大きくしたようなトラックが目の前に現れ、覆面かと見まごうようなフェイスカバーをした男が降りてきた。

そして、釣れた魚をキープしていた生け簀の網を手繰って魚を素手でつかみ、1匹ずつ土手の上にぶん投げ始めたのだ。

 

土手の上に積み重ねられ、黄金の瞳から生気が消えていくバラマンディ達。

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・・・・・・

あの時に感じた、自分がこの上なく美しいと思った魚が粗雑に扱われることで抱いた感情は、私に三島由紀夫の「金閣寺」の終盤の記憶を呼び起こさせ、かつて三島の描きたかった「滅びの美」のカタルシスを遠く離れたタイの養殖池でこの時完全に理解した。

金閣寺では主人公は放火という直接的な手段で「美しいもの」を破壊したが、私たちが魚を釣らなければ、バラマンディは死ななかったわけで、その点間接的ではあるものの私たちもまた「美しいもの」を破壊していることになる。)

 

そうこうしていると、生け簀からすべての魚を出し終わった男たちは今度は土手にぶん投げた魚をトラックに積載してある大きなバケツに移し替え始めた。

 

彼らはどれだけの精神的ダメージを初対面の日本人に与えようとしているのだろうか。

 

水揚げの後は出荷。金閣寺の後は「ドナドナ」である。

 

ある晴れた昼さがり 市場へ続く道 荷馬車がゴトゴト 子牛を乗せて行く

可愛い子牛 売られていくよ

 

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ドナドナされていくバラマンディ。



 

「お前ら結構釣ったな!!」みたいなことを言い残して男たちとトラックがどこかに向けて出発した後、再びボッタクリタクシー(いいカモだと思われてるらしく、終了時間と同時に迎えにきやがった)に乗りこみ、次第に熱狂から覚めた我々は、今日の行動を客観的に見ると「日本円で1万ナンボ払ってバラマンディ63匹の出荷の手伝いをした」という倒錯したものであったことに気が付いた。

 

 

2日目 完

 

 

 

タイで野犬を見てきた。釣りもした。 タイ釣行記1

 

「タイはすごい。」「男なら海外釣行いけ」何度聞いただろうか。

ついに「ヤリモク」(釣り目的のこと。日本一有名な釣り人、村田基がデッケェ魚を釣った際に必ず「ヤーリー!!!」と叫びながらしょぼいガッツポーズをすることに由来している)の旅を敢行してしまった。

 

 4年の晩秋に初海外釣行、というのは海外釣行に心血を注ぐ男たちに囲まれて過ごしてきたここまでの大学生活を鑑みると、むしろタイミング的には遅かったのかもしれない。そもそも、つい最近まで海外釣行行きたいだなんて毛ほども思っていなかった。

だから、最初に友人からタイ釣行を誘われるまで、完全に海外釣行なる概念に対してはフラットな感情、むしろ胡散臭いメーカー関係者(海外釣行の有名アングラーは大体不審者のような身なりだ。)が信者にヨイショされてる界隈、というマイナスな感情しか持っていなかったのだ。

 

 しかし、悲しいかな不完全燃焼感と暇を持て余し、なおかつ彼女も友達もいない身軽な身分に成り下がった私、そして夏場に釣果や人間関係、夏競馬など、色々な意味でボコボコにされてしまった私には「海外釣行」が突然とんでもなく甘美で魅力的なものに思えてしまったのだ。

 

 

 なにせ身軽な身である。そうと決まれば話は早い、と言いたいところだが、そこは社会不適合者2匹。7月にとてつもない熱量をもって夏休み中のタイ行きを決めたはずが結局本格的に日程を詰め始めたのは10月中旬、航空券を取ったのは旅行3週前の11月頭。結局、発案から約5か月もあったのに、道具その他の準備は2週間でする羽目になってしまった。(しかし、後述するがこの遅れはいい方向に転がった。)

 

 旅行当日

朝から酒を飲み

飛行機に乗り

ドンムアン国際空港に夕方到着した。

ずっと寝ていたので特に書くことはない。

でも、こんなことしてると体の中にそのうち石とか血栓とかできると思う。

 

 

 

 

 さて、今回の旅の目的はタイ、バンコク近郊にある釣り堀をめぐって

メコンオオナマズ(現地名 プラーブック)

バラマンディ

ジャイアンスネークヘッド(現地名 チャド―)

ピラルク(現地名 アラパイマ)

など日本では絶対釣れない魚を釣ってしまおう、というモノである。

 

 

 

 

 まずはメコンオオナマズである。こいつはメコンと名前が付くように、メコン川に住む大型のナマズで、最大数百キロにもなる。IUCN 絶滅危惧IA類、ワシントン条約 (CITES)付属書I類に分類されている希少魚。「釣っちゃいけない魚」感がモリモリするが(ちなみに、日本で一番釣っちゃいけない魚は街中の川でジジイが餌付けしているコイだ。)、同じ絶滅危惧種のウナギだって養殖されまくってるように、タイでは至極普通に食べられているし、バンコク付近にあるいくつかの釣り堀に行けば簡単に釣れる。我々はこいつを釣ってやるためにタイ到着5時間後には海外釣行の聖地みたいな扱いをされているブンサムランフィッシングパークに着弾した。

 

 

 

道中

 

 

 

 

 

 ここはすごい。なんて言っても24時間営業の釣り堀だ。池の周りには水上コテージが並び。釣具屋もレストランも、24時間営業のコンビニもある。魚種も豊富で、メコンオオナマズはともかくとしてカイヤン(ちっちゃいナマズ)、アロワナ、ピラルク、パーカーホ(超デカくて黒くてかっこいいフナみたいなやつ)、ピラルク、ガー、チャド―、ティラピアなど、今回狙ってる魚はじつはここでほとんど釣れる。だが、ピラルクやガーを狙うためには「スペシャルライセンス」が必要らしく、それが8万バーツもするらしい。なお、狙ってなくてうっかりピラルクを釣ってしまった場合も8万バーツ取るという噂もある。サイズも大きく。メコンオオナマズに関しては200㎏級だか300㎏級までいるらしい。たしか、一番デカいサイズは2匹だけいるとか聞いた。100㎏級までは割とカジュアルに釣れるらしい。意味が解らない。

 

 

 また、値段も凄い。現地人は400バーツで釣りができるのに外国人は入場料+竿1本4000バーツ(日本円だと15000円くらい)だし、ここにガイドやエサ代、寝泊まりするコテージ代金を付けると、合計8000バーツもかかる。2人で行って1人4000バーツである。

外房のジギング船か??釣れなきゃ投身するぞ?

 

 

 

 

あと、異常に野犬がいる。バンコク近郊と言っても、中心部からは30km程度離れており、ワクチンとか打ってなさそうな犬ばかりなので狂犬病が怖い。あと、ハチャメチャにオチンチンが大きい。目の前で交尾するな。

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野犬なのかよくわからないけど、たぶんワクチンは打ってないと思う。

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これはちんちんがデカかったせいで日本の大学生2人組にちんちん犬(けん)と呼ばれることになった犬。

 

 

 さて、私たちは「絶対にガイドはケチるな」とのインターネットの先人の教えを守り、ガイド(基本は英語で意思疎通をするけど実は日本語も喋れる。)を1000バーツで雇った。エサを作り、仕掛けを調整し、仕掛けを投げ込むところまでやってくれる。私たちゲストがすることと言えば、コテージに備え付けのウッドチェアでビールを飲み、星空を眺め、twitterをし、アタリがあったらフッキングして魚と1 on 1の綱引きをする事だけである。

 

 

 

 

 

 

 最初は現地で「プラ―サワイ」と呼ばれる6㎏程度のナマズだった。写真を撮ろうとしたら、ガイドに「チイサイ!!」と言われて陸に上げてものの10秒ほどでリリースされてしまった。こんな魚はハナからお呼びでない、といった雰囲気である。

あくまでも、ガイドは我々にメコンオオナマズを釣らせたいらしい。素早く次のエサの準備をし、重いエサを惚れ惚れするようなキャストで広い湖面の中央部に打ち込んでいく。聞くところによると、中央部分の水深は50mほどあるそうでメコンオオナマズを釣るならそこが一番適しているとのことだった。

 

 

 

 その時は突然きた。電池とライトを内蔵したウキがゆるやかに沈み、湖面が赤い光に滲む。竿に駆け寄る。ガイドの「オレ」が「KITA!」と叫ぶ。渾身の力でアワせる。一度の合わせじゃ足りない。2回、3回と追いアワセを入れる。もう魚は地を這うように走り出している。先ほどの魚とは明らかに異なる重さ。OBから譲り受けた、一生使わないだろうと思っていたリールのスプールが ビリビリビリ と音を立てて逆転し、夜の湖面に響く。大学入学時には考えもしなかった場所で、考えもしなかった魚と戦っている興奮が身を包んでいく。大物釣り用のギンバル(ロッドホルダー)に竿をセットし、竿の反発力と筋力でまだ見ぬ大物を少しずつ、少しずつ手繰り寄せていく。20m寄せては15m走られる。ラインが暴れる魚体に擦れて「ゴリッ」という手応えが伝わる。しかし、寄らないほどの重さではなかった。10分もかからずにそれはネットに収まった。

 

 

 

 

 

 あっけなく釣れてしまった。カッコつけて書いたけど、釣りを始めてから30分くらいで本命が釣れてしまった。お前本当に絶滅危惧種か?それから、ローションみたいなヌルを全身にまとっていて、Tシャツに付着して爆発的な悪臭を放つのには閉口した。

 

 

 さて、ヤリトリに関しては一度釣って引きのパターンを掴んだら、あとは慣れである。身体はキツイが、ボコボコ釣っていく。

 

 余談だが、メコンオオナマズの引きは「重い系」である。湾奧シーバスをする人なら「アカエイ掛けちゃったときと似てる」と言えば理解しやすいだろうか。自重と巨大なヒレで、まるで地面が動いているかのような錯覚を感じさせ、走られると「これどうすんだよ止まらねぇよ笑」と狼狽してしまう、あのトルクフルな引きである。だから、じんわりと体重をかけ続けて魚にテンションを掛ける、柔よく剛を制す、といったやりとりが本来この魚と相対する時には合っているのだろう。だが、数を重ねていると飽きてくる。多くのブンサムラン経験者が、「あそこは筋トレスポット」と呼ぶ所以がなんとなくわかってきて、マンネリ気味に何匹目か忘れた魚に合わせをくれてやると、ガイドが地獄のゲームの提案をしてきた。

 

 

「until 5 minites!! ゴフン!!」

 

 

 

そしておもむろにスマホを取り出しアラームを起動させ、爆笑しながら

「ピーチャイ、レオレオ~~~」(ピーチャイは「お兄さん」で「レオレオ」は急げという意味らしい。)と囃し立てながら手を叩いている。

 

 

 

どうやら「5分以内に釣れ。」ということらしい。

 

 

 

 時間を掛ければ、この魚を寄せるのは比較的簡単だが、時間を掛ければ、の話である。力任せに寄せるのはかなり難しい。難しいというか、とにかく体力を消耗するのである。一気に寄せるから魚も十分に体力を使い果たしてない状態で近くまで寄ってくる。だからその次のランで一気に長距離走られてしまう。死にそうになりながら寄せて、また走られてを繰り返し、ようやく手元まで寄せたところで、ガイドが先ほどと同じく爆笑しながら、今度は水が大量に入ったバケツを湖面に向かって叩きつけ始めた。満身創痍で抵抗する意思と体力が少なくなった魚を驚かせて、また走らせようとしているのである。流石にこの時ばかりは鬼の形相で「オレ!!!!やめろ!!!!!STOP!!!!マジで!!!!レオレオじゃねぇよマジで!!!」と叫んでしまった。

 

 

 

結局、この後3回ほど走られてファイト時間は5分を超え、哀れ絶滅危惧種メコンオオナマズボブ・サップにボコボコにされて「おねんね」してしまった曙みたいな脱力をした状態でランディングされ、池に再放流されていった。

 

 

 

 

結局、40㎏ぐらいまでのメコンオオナマズを4時間程度で10本以上は釣っただろうか。

途中、OBから買い取ったリールが整備不良で昇天するハプニングもあったが(なんでリールフットの裏をこんなに削っちゃうかな~)、もう十分だ。本当はパーカーホも釣りたかったが、どうやらパーカーホはこの池では希少な上に、昼間、それも午後に釣れる魚であるようで、諦めた。次回の宿題にしようと思う。

 

 

この後、水のシャワーを浴び、なんだか南国テイストなダブルベッドで男2人、もぞもぞと寝て、タイ釣行1日目は無事、終了した。(南国テイストなダブルベッドでポリネシアンセックスの話をしたのは言うまでもない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

就活を雑に振り返る

 2019年度の就職活動戦線はおおむね最終局面と言っても差し支えない段階に突入している。

 

 

  今回は、私の就職活動の総括を簡単にしてみたいと思う。

 

 

 巷では、近年稀にみる売り手市場と言われた今年度の就職活動であったが、大体の学生が卒業までに体験する就職活動(ここでは希望する会社の内定を得るための活動を総称して就職活動と呼ぶ)は1回きりであるし、私もその中で運よく希望する企業の一つに引っかかったので「去年よりもどうであった・ああであった」という感想はその道でメシを食っている就活コンサルみたいな人に聞いてほしい。

 

 さて、肝心の感想について述べようと思うが人並みな感想ではあるものの、

 

 「辛いと言えば辛かったし、面白いと言えば面白かった。」というほかにない。

 

 まず、SPI等学科試験の数学ができない。

過去問題集を解いても、なにをしても、どうしてもできないのだ。

(私は中学校3年生の数学の図形証明問題で数学的思考を完全に放棄してしまった)

これが祟って某石油企業の最終面接では「君、学科試験さ、国語はよくできてるけど、数学が、ウフッフ……ダッハ……。」と笑われてしまい、流石に「そうなんですよ~!!いくら頑張ってもテンでだめでして…アッハ……!」という返事をせざるを得なくなってしまった。(ここでテンポを崩し、無事落ちた。)

 

 次に、面接についてだが、私は趣味の関係で年上の人々と話す機会が多く、人と会話することに物怖じしない性格であったこともあり、確かにオッサンらと話すのは嫌いではない。

しかし、嫌いではない、というだけで、別に歳の離れたオッチャンと話すのが特別に好きというわけではないし、アルバイトが元同級生のヤンママやアル中オヤジの相手を笑顔でする仕事だったとはいえ、チラチラチラチラ手元の履歴書に目線を落としながらニヤニヤ品定めしている会社の人事のオッチャンの相手はしたくない。私は香港・旺角のピンポンマンションのねーちゃんではないのだ。

 

しかし、そんなイマイチ冴えないナリのオッチャンの一存に、私の未来が掛かっているのだ。緊張もする。最初期の頃は手汗ビッチャビッチャ、ケツ汗ビッチャビッチャ、顔汗ビッチャビッチャになりながら面接を受け、体の水分と面接通過の手ごたえを同時に失っていた。

(ちなみに、就活を「おはなし楽しい!!!全然辛くない!!!」と語っていた某皇族御用達大学の体育会所属の友人は怒涛の勢いで業界横断的に内定を獲りまくり、最後まで楽しいまま就活が終わったそうだ。)

 

 加えて、人とフランクに話せるとは言っても、私の話し方は典型的なオタク話法だ。1から10まで説明しないと気が済まないし、自分の話の内容を自分の意図しない解釈でとられると気が狂う。あと早口。舌足らずなのに。(ちなみに、これはかなり就活終期まで引きずった私の欠点であり、面接でゆっくり落ち着いて話せた面接は通過、体感的に早口になった面接で落ちる傾向がかなり顕著だった。)

 

 

 

 このように、就職活動は苦難の連続であった。早口やオタク話法など、何とか努力でカバーできるところはなんとかしたが、それでも人並みに辛い経験も積んだし、心はすり減った(ちなみに、新学期が始まるころは過去最高に精神衛生が悪く、毎日蝶野正洋長州力の入場曲を聴いて心を奮い立たせていた。)


蝶野正洋 入場曲


【長州力のテーマ】 パワー・ホール

 しかし、面白い場面もあったことはあった。

 

 「ウチはちょっと給料がね…」と語っていた某金属メーカーの26歳の左腕にロレックス・サブマリーナが付いていて「嘘ついてんじゃねーよ」と思ったり、面接終わった後、会社近くのラーメン屋に並んでいたら、さっきまで話してた面接官と鉢合わせしたり、異常に意気投合した面接官からその場で最終面接案内を受けてみたり(ちなみに、30分間ずっと釣りの話をしていた。)、最初の第一志望の会社に書類サイレントで落ちたり、(まだ連絡待ってるぞ!!!)GWに小笠原で超絶日焼けしてから最終面接行ったら、「なんか君、こないだよりも黒くね?」と初手でツッコまれたり・・・。

 

 

 自分でもなんとかこのイベントを楽しもうと、「ギャンブルはしていない」と性格検査で回答した会社の面接に東京競馬場で買ったノート、メルカリで買ったダービーネクタイで行ってみたり、飲酒した状態で座談会に行ってみたりして面白がっていたので、自分の努力とアイデアでたぶん就職活動はもっと面白いものになるのかもしれない。

 

 

 総括としては、就職活動で自分のアイデンティティも含めた約22年の人生の振り返りが出来た事はいい経験だったのだ、と思いたい。幸運にも私は比較的早期に就職活動を終了できたが、自分の早口も、偏屈さも、就職活動というフィルターを通さないと気づけないものであっただろうし、もしこのフィルターがなければ、気づいても気づかないふりをしていただろう。そして大学4年間を通じて自身の中で増大していた有害な「万能感」や「優越感」も克服することができた。

 

 

 ーこれで良かった。

 (ほんとうのことを言えば、就職活動などに時間を使ってしまったのは大変腹立たしいことなのだが、無理やりにでもそう思ってあげないと、気落ちしてプロレスの入場曲ばかり聴いて面接に向かっていた大学4年生の大切な130日と、リクナビが売ったであろう私の内定辞退率が報われないと思うのだ。)

 

 

 

 

 最後に、就活用のメモ帳に適宜書いていた「気づき」や「学び」をそのまま転載する。来年就活に突入する読者諸氏は参考にして頂けたら、と思う。

 

・少数精鋭って自分で言ってる会社の評判みると、大体現職による「仕事量が多すぎる」「休みが取れない」という愚痴がある。

・自身の欠点欄に「話が長い」って書くと面白がられる。(面接で話を簡潔にまとめられないとマイナスを喰らうけど)

・前髪カチ上げろ。ゆっくり話せ。

・1から10まで話すってよりかは、1と5と9(体感値)くらいまで話して、あとは面接官からのつっこみを待った方がボロが出ない。

・趣味の「どういう所が好きなのか」を明確に。

・リクルーターは担当学生が入社するとインセンティブが入るから、家族持ちの社員が多く来る。

・変な接客バイトの経験はめちゃくちゃ面白がられる。

・動機付けは浅くていいから「なんでウチか」を強調する。

・省庁相手の仕事はめんどい。