Adrenaline Addiction

東京湾のLTアジから小笠原の遠征ジギングまで。

雑記:釣りヴァージンはどう散ら「させる」べきか。アテンドを考える。

 放課後ていぼう日誌見て釣りに興味が湧いたという後輩の誘いにより、先日久しぶりに地元の釣具屋に行った。

(なお、私は『放課後さいころ倶楽部』と『放課後ていぼう日誌』を4分の3の確率で混同する。)

 

 そこで大学時代、釣りサークルの部長時代に頭を悩ませた、ある問題にまたも直面することになった。

 

 「釣り」を始めるって、どこから始めさせればいいんだ?

 

 幸いにも、今回釣りを始める後輩は6年ほど前、つまり高校時代に釣りキャンプと題した活動で私と共に房総半島を数日間駆けずり回った経験のある人間だったので、ある程度「どういう釣りがやりたいか」というビジョンを持っていて助かったが、翻って、「釣りたいけど特に希望のない」釣りヴァージンを何で、どう散らさせるか、という問題は釣り人ワナビをアテンドする人間が最も苦心する問題だ。

 

 ではアテンドする側がそういった人たちに向けた釣りをセッティングする際に考慮しなければいけない問題とは何だろうか。整理してみよう。

 

本来、初心者に最も経験させるべき釣りというのは、「楽で」「安くて」「そこそこデカい魚(おいしい)」が「そこそこ」釣れる釣りだ。最初からデカい魚釣るのは躊躇がある人が多いし、たくさん釣れ過ぎても困る。世の中には魚を捌ける人ばかりではない。しかし、残念なのはこんな釣りはなかなか存在しない。特に関東という人口密集地域の堤防なんぞには。

そこで、前述した4つの要素を取捨選択して釣りを選ぶ必要がある。

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こんなに釣ってもしょうがねぇんだよ

 まず、我々が考慮しなければいけないのは、彼らが釣りを「始めたい」のか、それとも「やってみたい」だけなのかを見極めることだ。前者ならそれなりに継続性をもって釣りに取り組む意思が存在していることが多いので、ターゲットの選定やエントリー向けの釣り具を買わせる方向に進んでもいいかもしれない。しかし仮に後者の場合、継続性を持った趣味とする意思は希薄なので彼らの多くは釣り堀などでの「体験」で満足してしまう。誤解しないでほしいのは、私は決してそういった人たちを嫌っているわけではなく、ここで見抜いておかないと「やってみたいだけ」の人にレンタルで済むものを買わせることになったりしてしまって双方モヤモヤしたものを抱えてしまうことになったりしてしまうのだ。兎角、ここの見極めは慎重にすべきである。

 それから、後者の場合も思わぬ一匹で人生が「暗転」する事があるのでこのカテゴライズは絶対的なものでもない。

 実際、思わぬ一匹で人生が狂った人々を何人も目にしているので。

 

 次に我々が考慮すべきは、それが「魚が釣れる釣り」か否か。という事である。釣りと一口に行っても、そこには多くの釣り方や対象魚が存在する。一か八か、釣れない大物に一日を賭けるのか、小物をコンスタントに釣って手堅く遊ぶのか、その選択肢は数多く存在する。その中から、季節に合っており、なおかつ釣れる釣りを探さないといけない。初心者のアテンドで最も恐ろしいのは「魚を釣りに来たのに魚が釣れない」ことである。そして後述するが予算の限りもある。

 

 そして我々は予算についても考える必要がある。基本的に釣りは金がかかる部類の趣味だ。費やす額で言えば、ゴルフとそこまで変わりないのではないかと思う。ゴルフは一見しただけでも金持ちの趣味、オッサンの趣味感がするからまだいい。しかし、厄介なことに釣りというのは「軽い気持ちで始められます!!」みたいな、敷居が低い趣味ヅラをしている。だから、相手が「体験」もしくは「スタート」にどれだけの予算を組んでくれるかはかなり重要な問題になってくる。

 実際問題として、「体験」でさえかかる金は結構なものだ。これがコイやマスの釣り堀などなら1日数千円で済むが、コイ釣りやマスのつりぼりは経験したうえで、もうちょっと踏み込んだ釣りをしたい、釣った魚を食べてみたい人々が声を掛けてくれることが多いので必然的に選択肢からその2つは除外される。そこで前述の「魚が釣れる釣り」という要素とすり合わせていると選択肢に上がってくるのが海上釣り堀とライトアジ船である。この2つなら大体ボウズ(何も釣れないまま終わること)が少なく、そこそこ魚の引きを楽しめるので初心者にうってつけだ。しかし、金額面からみると、前者では最低1万円、後者は5000円程度かかってしまう。一度の体験でこの出費を許せるかどうか、ちょっと意見が割れるところだと思う。

 なお、釣りを「始める」場合はもっとお金がかかる。前述した「始めたい」後輩も、堤防でできる「サビキ釣り」というごくポピュラーな釣り方のための道具をクーラー含めて一式そろえて1万円くらいになってしまった。このうち8000円くらいはいわゆる「耐久消費財」で、特に竿やリールは他の釣りにもある程度流用が出来るのでまだいいが、それ以外は大体消耗品である。もちろん最初はレンタルもアリだが、「始める」にあたっては、いずれ何かしらの道具は用意することになるし、1人で買いに行かせて下手に廉価なものを買わせてしまっても安物買いの銭失いになってしまう。これを忘れずにアテンド側は心得ておくべきだろう。

 

他にも考慮すべきことはいろいろある、虫エサ(ゴカイ類)を触れるか。トイレの有無、近所の観光・飲食店など、快適な釣りってめんどくさいね……。

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5000円が許せるなら今すぐに横浜からLTアジに乗っけてあげてください。

 そこで考えられるのが関東近郊の半日のライトアジ船である。これ本当に楽。レンタルもあるし、船宿に「初心者を連れていく」旨をいえば相応の配慮をしてくれる上に釣れるアジはブランド物なのでバカ美味いです。「体験したい」人も「始めたい」人もいままで数十人この船にブチ込みましたが、ボウズ喰らうことは経験上なかったので釣果も安心。周年釣れるので時期も選ばない。

ネックはサイズがイマイチな事くらい。でも、良いときに当たれば上の写真みたいにアベレージ25㎝オーバーみたいな日もあるので、状況次第で挽回可能。

 

 

 あと意外とおすすめなのは「キャストができる」という条件付きで半夜のボートシーバス船。4人集めれば1人1万円以下で6時間仕立て(貸し切り)にすることができる。

日本で一番スズキが釣れる東京湾で「ルアーは釣れる」という意識づけもできるし、魚もマックス70㎝とかまで出るので楽しい。ただ、レンタルがないところが大半なので、自分でレンタルを用意するか道具を買ってもらう必要があるのが欠点。

 でも、東京湾の工業地帯やら港湾部の夜景を間近に見ることができるのは超アガる。みんなも一緒にキリン(ガントリークレーン)見ような。

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ガントリークレーンはゲチケッケェ。

 あと、ここまで堤防釣り、おかっぱりの話をしなかったのは意図的なもの。最近の関東地方の釣り場はどんどん釣り禁止が増えているうえに、残った釣り場に毎週人が押し寄せてトラブル多発。魚もスレてて激渋。駐車場も少なく、精神衛生によくないので…。

いや、良い場所もないことはないんだけど………。船が快適過ぎて……。

 

 

しかし、どこまで我々が熱意を込めて準備しても最後のところは魚次第。あと、なんだかんだ言ったけど結局釣りにハマる人って大体初回か数回目の釣行でビギナーズラックで「デカいの」当てる人だよ。競馬と同じ。

 

 

釣りはギャンブル。忘れんなよ。

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新しい何かを始めるには相応の金がかかる。この、釣りあげるまでに20万円ぶっこんだカンパチを拝みながら毎日100回復唱してください。